取組事例・提案の紹介

働き続けられる職場づくりのための『夜勤・交代制勤務』の試行

取組・提案者概要

取組者
病院単体での取組
法人名
公益財団法人 日産厚生会
病院名
玉川病院
法人(病院)の開設主体
その他(公益法人、私立学校法人、社会福祉法人、医療生協、会社、その他の法人)
所在地
東京都世田谷区瀬田4-8-1
主たる医療機能の特徴
急性期機能
一般病床
病床数: 389
 
入院基本料:7対1
療養病床
病床数:
 
入院基本料:
結核病床
病床数:
 
入院基本料:
精神病床
病床数:
 
入院基本料:
その他病床
病床名:地域包括ケア
 
病床数:44
 
入院基本料:地域包括ケア病棟入院料2
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一日あたりの平均外来患者数
722.5人(平成29年度数値)
一日あたりの平均在院患者数
291.4人(平成29年度数値)
一般病棟の平均在院日数
14.4日(平成29年度数値)
病床稼働率
82.4%(平成29年度数値)
職員総数
660人(平成29年度数値)
医師
63人
看護職
339人
医師事務作業補助者
10人
看護補助者
66人
医師の交代制勤務の有無
なし
看護師の交代勤務の状況
2交代制(変則含)
勤務環境改善についての表彰・認定等について
永年勤続表彰(勤続10年以上、20年以上、30年以上を表彰する)
TQM活動発表会(院内発表会で 敷地内禁煙活動チームは 金賞)
看護部キャリアラダー制度認定 (アドバンス1A11名、アドバンス1B9名、アドバンス2 9名、エキスパート5名 院内認定)
インジェクションナース認定 (院内認定 37名認定)

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取り組んだ内容

【取組(1)】
Ⅰ.働き方・休み方改善
1 労働時間管理
年次有給休暇をはじめとする休暇の取得を促進している
【取組(2)】
Ⅲ.働きやすさ確保のための環境整備
4 人材の定着化
定期的な面談等により職員が抱える事情や希望を把握し、可能な限りこれらを尊重した配置や業務面の配慮を行い、定着を図っている。
【取組(3)】
Ⅱ.職員の健康支援
1 健康管理
職員の健康教育や身体的健康対策(生活習慣病対策等)に取り組んでいる
【取組(4)】
Ⅳ.働きがいの向上
1 キャリア形成支援
正規・非正規を問わずすべての職員のキャリア形成支援(研修等に関する情報提供や研修等への職員参加の支援、子育て等と両立しながらの勤務の継続に関する相談窓口の設置や情報提供等)が実施されている

取組のきっかけ、背景、取組前の問題点

 看護は人材育成と業務改善の継続が必要なため、さまざまな取組みを行ってきた。産休や育休中、また育休明けの日勤のみの看護師を毎年10~20人かかえ、その人のキャリア、病棟の運営、看護部の運営、ひいては病院の運営を考えなければならないことから、2008年に「ポートフォリオ」を導入。これが習慣として身に付いてきた2010年にはクリニカル・キャリアラダーを設定した。これが定着した2011年にはBSC(バランス・スコア・カード)を導入した。これらのことから、フレームが整備できたため、2013年には看護の質の充実に取り組み、勤務時間が多様化したことから複雑化した勤務表の自動作成システムを導入した。
 これからも働き続けられる職場をめざし、看護協会の『夜勤・交代制勤務』の導入を検討した。
 2013年に実施した看護部アンケート調査結果から、現行の16時間の夜勤における身体的症状(ときどき・毎回あるが6割)、精神的症状(ときどき・毎回あるが4割)の有無について共有でき、12時間夜勤についても賛否さまざまな意見が寄せられた。
 2016年から、超過勤務を余儀なくされる日や、欠員出てしまった日に、余裕のある部署の応援ができないものか、看護部全体で考えざるをえなくなった。
 勤務時間帯のメンバーの組み合わせが、その勤務帯の仕事の流れを左右することに気づき、いつも平均化された看護力で仕事を行う必要性を感じていた。

取組対象

  • 取組対象
    看護職
  • 取組の中心部署・人物
    WBL推進事業を、メンタルヘルス、業務委員会、クラーク・介護者委員会がそれぞれの立場で応援する形を取った。
  • 取組詳細
    1.勤務表作成には、スタッフも協力する。1日の勤務に必要な人数を必ず確保できるように休みの取り方を、お互いが調整する。
    2.各職種間で、リリーフ体制を引いた。お互い感謝の気持ちで接することができるようになるには時間がかかったが、同じ看護部のスタッフとして助け合える風土になった。
    3.定期の面接以外にも、師長が副師長が、リーダーが、プリセプターがそれぞれの立場で話を聞く体制を作った。
    4.夜勤ができない人は、早出・遅出でカバーしたりすることで、夜勤できないことが「×」ではなくて、それぞれが自分のできることをする考え方にかわっていった。

実施後の成果

Ⅰ.働き方・休み方改善_成果
1 労働時間管理 成果
・4日間以上の長期休暇の取得促進・超過勤務管理システムを導入
成果の出た対象 ☐医師,☐コメディカル,☑看護職
成果に影響を与えた取組 【取組(1)】
成果指標 【有給休暇の取得率】
・ゴールデンウイークや夏休み3日間、正月休み6日間に代休や年次休暇をつけて、1週間から10日間の長期休みを取ることが定着したため、取得率は60%に改善した。
【超過勤務時間の管理】
・個人別、病棟別、職種別に毎月の長勤務時間を分析し、業務改善につなげることができている。平均超過勤務時間は、看護師4時間/月。

これまでの取組成果に対する院内の声・反応

 新たな夜勤・交代制勤務の試行後アンケート結果からは、16時間夜勤と比較して身体的な影響があったとの回答(「ある」43%)が多く、内容をみるといずれも良い影響であった。また、具体的な弊害について聞くと、「ある」が27%、「ない」が53%であった。「ある」の内容に、ギリギリの人員のためにインシデントやアクシデントへの不安、アクシデントが増えたという声もあったが、平成26年度のインシデント数をみると、試行期間における増加はみられなかった。
 各勤務帯での問題点は、日勤・夜勤ともに業務負担感や業務整理の必要性が挙げられる中、夜勤では疲れが少ない、精神的に楽といった声も挙がった。
 試行した新勤務体制でやっていけると思ったかを聞くと、「思った」34%、「どちらでもない」38%、「思わない」21%の結果となった。試行の感想では、勤務帯で均等な業務にならないための不公平感があるという声の一方で、業務内容や金銭面で不公平感をなくして納得して新体制にできると良いといった前向きな声も聞かれた。
 お互い、勤務時間中、協力し合って仕事を進めてゆくことに、自分の所属していない病棟だから、助けてもらうことへのわだかまりがなくなり、1時間でも2時間でも時間があれば、リリーフに出ることが自然にできるようになった。

今後の課題等について

 平成26年度の時間外勤務時間の推移をみると、試行期間における特段の増加はみられない。しかし、業務整理の必要性を聞くと、「はい」の回答者が59%となったことからも、各勤務帯の業務整理や調整が必要だということが明らかになった。
 今回試行した新勤務体制は、単なる時短ではない。16時間の夜勤業務内容を12時間でどのように分配・構成するか、日勤と夜勤のつなぎなど、自分たちの病棟でどのようにしたらよいかを常に考えられる組織にしておかなければできなかった。これは、ポートフォリオの導入を始めとする5年をかけた組織づくりがあったからこそ新勤務体制が成り立つのだと考える。
 シフトの合意と手当を確定させたうえで、病院一斉は難しいと考られるため、地域包括ケア病棟、一般病棟の1病棟など、できるところから新勤務体制の試行導入を進めていく。