取組事例・提案の紹介

●変則交代勤務制の導入による労働時間の削減●業務体制・仕事配分の見直し●公正な評価・処遇●キャリア形成支援

取組課題

取組・提案者概要

投稿者
日本赤十字社医療センター
所在地
東京都
病床数
500床以上
入院基本料
7:1
職員総数
1000人以上

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【医療従事者の勤務環境の改善に向けた手法の確立のための調査・研究班 調査報告書(平成26年3月)より引用】

取組のきっかけ、取組前の問題点

 分娩取扱い数増加、妊産婦の高齢化、救急搬送、母体救命搬送への対応など夜間休日における当直医の負担が増大し、軽微な作業を指す「宿直」に相当しない業務量をはるかに超えていた。当直前後に日勤業務を行うと30時間以上の連続勤務となるが負担が大きくシステム改善が望まれていた。また、緊急呼び出しへの対応のための常時拘束されることは大きなストレスになるため、公平にオンとオフを決めるべきである。産婦人科では妊産婦や女性を対象としているため、女性医師へのニーズが高い。若手を中心に女性医師の割合は増加しているが、出産、育児の時期に手術や当直、緊急呼び出しなどにも対応できる常勤として働き続けることは難しく、多くの女性医師が分娩業務から離脱していることが学会の調査で報告されている。また、既にいくつかの病院で労基署より業務改善の指導が行われていたこともあり、当直医への負荷の軽減、女性医師の就労支援などを目指して交代制勤務が検討されることとなった。

取組の体制・中心人物

 病院として問題に取り組むことになり、院内に交代制勤務検討委員会が設置された。医師、看護職、事務職などおよそ15名で検討を行った。検討においては、当時、勤務環境改善に取り組んでいる病院があまりなかったため、他の病院を参考にしたということはなく、看護師の交代制勤務を参考にした。

取組の概要

働き続けやすい職場づくり:変則二交代勤務

 8時30分から17時までの日勤と、20時から翌朝9時までの夜勤(3名)、日勤終業と夜勤始業との間の3時間を担当する日勤の延長勤務3名から成る変則二交代制勤務とした。日勤帯には前後の夜勤者は勤務しないため、これまでよりもマイナス6名で業務を行うことになる。このため常勤医数が一定以上必要であるが、業務量に比して充足しているわけではなく、実際には休日勤務した分の代休は取得できず、人手が不足するときは早出や残業することもあり時間外勤務が少なからず発生している。夜勤の回数等は、年代によっても異なるが、中堅医師で夜勤月5-7回、日勤延長月5-7回、オンコール(宅直)4-8回となっており、管理職ではこの他に月1-2回の管理当直がある。残業月50時間となっている。育児中の医師も平等に夜勤を行っているのが大きな特徴である。長時間過重労働を防止するシステムによって、特別の女性医師支援などせずとも男女ともがワークライフバランスを大切にしながら無理なく働き続けられることを目指している。

働きやすい職場づくり:業務体制・仕事配分の見直し

 メディカルクラークの導入が進んでおり、退院サマリ、診断書、紹介状の返事など文書作成補助を中心にして事務を委託している。これまで研修医が行っていた単純作業も委託している。内容については院内の役割分担委員会で検討して、病院全体で取り組んでいる。
 助産師や薬剤師などとのチーム診療も行っている。外来診療は、医師と助産師が連携して行っているとともに、近隣の医療機関とのセミオープンシステムにより自院での妊婦健診を地域に委託して外来業務負荷を軽減している。なお、院内保育所は設置していないが敷地内にある乳児院を利用することは可能である。

働きがいのある職場づくり:公正な評価・処遇

 オンコールについては、公平に分担日を決め、待機のみでも手当が出るようにした。実際に緊急に呼び出しを受けた場合は時間外手当が支給される。ただ、自宅が遠い、家族の世話で急な対応が困難な場合は免除している。

働きがいのある職場づくり:キャリア形成支援

 女性医師支援に必要なのは、柔軟な勤務時間だけでなく、医師としてのモチベーションを高めつつ、家庭とキャリアを両立できる体制である。子育て期にも分娩や夜勤、研究業務に携われることによって、勤務軽減による引け目を感じることないよう、働き方に男女の差をできるだけなくすようにしている。
 研修5年が終了すると専門医試験があるが、出産育児の時期と重なって取れないことがないよう、臨床指導のみならず、こまめに声掛けを行っている。管理職として働く女性医師が少なくないため、身近なロールモデルとなっている。

実施後の成果や見えてきた課題

 公私に関わらず、日中に院外の用事がある日には、夜勤をすることで前後の日勤帯の時間が自由になるメリットがあり、休みをとる気兼ねがなくて済む。このため、見学に来た学生や研修医にも好評で、就職希望者が増えている。
 家庭との両立においても、当直を挟んで連続30時間以上の勤務を行うことは難易度が高かったが、家を空ける時間が半分程度になることで子育て中でも無理なく夜勤を担当することができる。ただ、はじめは「子どもがいると夜勤は無理」と考える人が少なくなかった。保育所に預けている日中働きたいというニーズがある。このため、夜間は、夫など家族に協力してもらうこと、夜間母が不在でも子どもはそれほどぐずらないこと、夜勤の前後において日中に勤務がないことを利用して自分の時間が持てることのメリットなどを説明して説得している。迷っていたが実際にやってみると、意外に大丈夫だということがわかって、続けている人が多い。
 交代制では医師の実質勤務時間は減り、時間外勤務コストが減るため、給与がかなり減額になる。夜勤では日勤より少ない人数で日勤とほぼ同等の分娩管理や救急業務を担当しているが、手当はそれほど多くない。このため給与の適正化として分娩立会い数に応じた手当を支給する工夫を行った。
 また、研修という点において問題があり、夜勤をやることで日勤帯に不在になることで、手術や術前後管理を担当できる回数が減ってしまう。このため研修プログラムや目標をきちんと立てて、内容を工夫することで対応している。
 主治医が夜勤入りや明けのため日中に不在となることによる問題がありうる。しかし、当院では以前からチーム医療に取り組んでおり、複数主治医制をとっている。交代制を導入するにあたっては患者側にも理解が欠かせない。24時間、常に同じ医師に対応してもらいたい、という意識を変えることが安全で継続的な医療のためにむしろ必要である。

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2015.03.28:投稿者 7
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