取組事例・提案の紹介

病院全体で改善に取り組む風土づくりへの第一歩

取組課題

取組・提案者概要

投稿者
公益財団法人復康会 鷹岡病院
所在地
静岡県
病床数
100床~199床
入院基本料
その他
職員総数
100人~999人

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取組のきっかけ、取組前の問題点

 ここ数年、新卒看護師の就職がないなど、人が集まらない厳しい状況であった。看護学校の先生は一般科から就職を勧める傾向があることや、精神科患者に関する報道等によるイメージもあり、看護職の再就職時にも二の足を踏むような状況である。また、病院が富士山を望む風光明媚な環境にあるとはいえ、最寄駅や最寄バス停から病院まで少し時間がかかるため、不便だという印象をもつのだと考えられる。
 そのような中、平成26年度「雇用の質向上」のモデル事業を受託したことを院長が発表し、勤務環境改善に取り組むことになった。

取組の体制・中心人物

勤務環境改善委員会(院長の他、6名)

取組の概要

 勤務環境改善委員会(院長の他、6名)を発足し、病院の全体会議において方針を表明した。平成26年度は、年度内にモデル事業として結果をとりまとめる必要があったため、1か月に2回、1時間の委員会を開催し、厚生労働省の医療分野の「雇用の質」向上のための勤務環境改善マネジメントシステム導入の手引きに従い、勤務環境改善に取り組んだ。(平成27年度は1か月に1回委員会を開催)
 まず、マネジメントシステムの現状分析シート(改訂前)を用いて現状診断と課題抽出を行った。その結果、労務管理、組織マネジメント・環境・風土で自己点検評価が低いことから、年次有給休暇消化率の把握や職務意識調査、時間外労働の実態把握の必要性が明らかとなった。また、これらと並行して「見える化」に取り組み、『勤務環境改善委員会ニュース』を発行することになった。

取組の「見える化」-勤務環境改善委員会ニュース発行

 2交代制の病棟内にある仮眠室のソファーベッドが寝にくいという意見があり、新しいソファーベッドを購入した結果、「以前よりも良くなり、短時間でも休めた」といった声が寄せられた。このベッド改善についての取組を勤務環境改善委員会ニュースとして発行し、職員食堂に掲示した。

時間外労働と年次有給休暇消化率の把握

 部署長が部署職員の時間外労働時間と年次有給休暇消化日数を委員会に報告し、委員会で集計した。これらは事務職が取りまとめることができるが、自部署職員がどのように働いているかを把握するため、あえて部署長が取りまとめる、という段階を踏んだ。
 時間外労働は、薬剤課と事務課が多いことがわかった。これは、外来が増加しているためだと考えられる。
 年次有給休暇消化率は、病院全体平均は81.7%であったが、薬剤課を含む診療部と事務課を含む事務部は低い結果となり、時間外労働も踏まえると部署間の差が明らかとなった。

職務調査の実施

 職員に職務意識のアンケートを実施した。部署長から各職員にアンケートを配布し、職員は回答したアンケートを個人封筒に封をして入れ、部署ごとに回収する。回収したアンケートは部署長が院長に提出した。意見等は院長のみが把握することができ、委員会では数字のみを集計することとした。
 2014年11月の調査結果を踏まえ、「適正な評価(モチベーション)」と「フィードバック(情報共有)」に注目し、改善に取り組んだ。
 以前より「個人目標管理シート」を病院全体で使用していたが、面接とセットではなく、形骸化してきていた。改めて、目標管理に取り組むことになり、「個人目標管理シート」を使いやすいシートに変更したほか、「個人目標管理シート」を活用し、面接でフィードバックすることでモチベーションアップをめざした。

実施後の成果や見えてきた課題

 平成27年の調査では平成26年度よりも高い評価が得られた。職務意識調査の結果を見ると、「働きやすい環境」86%、「仕事のやりがい」81%、「安全面への配慮」71%と職員の満足につながる項目において評価が高く、その結果「勤続への意欲」も80%(とても続けたい・続けたいの回答率)と高い水準となっている。これは、時間外労働が少なく、年次有給消化率が高いこと、交通の便は悪いものの、敷地が広く、駐車場が敷地内に完備されていることなど、働きやすい職場環境であることが評価されたと受け止めている。
 人材の確保についても厳しい状況が続いているものの、精神保健福祉士は毎年新卒者が入職しており、看護部でも来年度は新卒者の入職が予定されている。厳しい状況ではあるが、取組の効果が徐々に表れており、明るい未来への兆しと感じている。
 今後の取り組みについては、今までやってきたことを地道に継続して行くことが大事である。年次有給消化率や時間外労働における部署間・個人の差が明らかになっており、部署間負担・個人負担の平準化を図っていく。また、個人目標管理のさらなる活用、安心・安全な職場づくり等の取り組みをしていくことと並行し、病院内外に取り組みについて情報発信をして、病院全体の意識アップに取り組んでいく。
 病院の規模にかかわらず勤務環境改善は可能であり、まずは「病院全体で改善に取り組む風土づくり」が必要だと考える。それには、院長の勤務環境改善への関わりや勤務環境改善の目的や目標等を病院全体で共有することが大切である。今後も、勤務環境の改善により、職員の健康と安全の確保およびモチベーションの向上を図り、「患者への医療の質の向上」をめざしていく。

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