取り組んだ内容

【取組(1)】
Ⅰ.働き方・休み方改善
2 勤務負担軽減
チーム医療や多職種連携(業務分担・連携の強化等)により負担軽減を図っている
脆弱性骨折患者ケアのためのツール「再骨折予防手帳」を開発
1.脆弱性骨折患者が配布対象
2.手帳運用フローに沿って多職種が活用して診療実施
3.退院時にすべての職種の記入が済んだ状態で患者さんやご家族に提供
4.急性期病院にも同手帳を使用いただくことで連携に役立っている

【取組(2)】
Ⅰ.働き方・休み方改善
2 勤務負担軽減
補助職(医師事務作業補助者、看護補助者等)を配置している
患者が治療を継続し、治療効果を評価するためにフォローアップをしていく。
退院後、骨粗鬆症マネージャーが電話やEメール、手紙などを用いて追跡フォローを行い、その結果をスタッフにフィードバックしている。

【取組(3)】
Ⅲ.働きやすさ確保のための環境整備
3 風土・環境整備
院内での職員のコミュニケーションの機会を設定・拡充している(職員旅行、イベント等)
スタッフ間のコミュニケーションの満足度向上に取り組んでいる。
【取組(4)】
Ⅳ.働きがいの向上
1 キャリア形成支援
施設外の研修への参加を支援している
学会及び、研修会への参加、発表の支援に取り組んでいる。
【取組(5)】
Ⅱ.職員の健康支援
1 健康管理
職員の健康教育や身体的健康対策(生活習慣病対策等)に取り組んでいる
健康サポートクラブの活用
1.健康診断結果に基づいた、健康管理の充実
2.職員向けのメディカルフィットネスの利用促進
3.メンタルヘルス対策、ストレスチェックの実施

取り組みのきっかけ、背景、取り組み前の問題点

2006年度診療報酬改定で大腿骨頸部骨折の地域連携パスが導入されたことに伴い、新潟県では、当院が中心となって研究会を立ち上げ、急性期病院と回復期病院の連携に取り組んできました。その際に行った調査で、大腿骨近位部骨折の大部分が骨脆弱性に起因しているにもかかわらず、急性期病院や回復期病院、維持期を担う医療機関や介護施設において、そうした大腿骨近位部骨折の患者に対する骨粗鬆症治療の取り組みがほとんど行われていないことが浮き彫りとなりました。その後、日本整形外科学会骨粗鬆症委員会が行った治療状況調査でも、全国の急性期・回復期病院における骨粗鬆症治療率の低さが数値として示され、二次骨折予防に関して地域連携パスが有効に機能していない状況が明らかになりました。
こうした状況に、危機感を覚えましたが、ちょうどその頃に、第2回Fragility Fracture Networkに参加し、海外の事例を学んだことから、脆弱性骨折患者に対するチーム医療を開始することにいたしました。
この取り組みにあたっては新たな業務・チャレンジでもあったため、病院全体で職員からの理解を得ることをはじめ、職員の業務内容や労働時間の見直し、チーム編成や職員の意識向上など、問題点がいくつもあり、改善に向けて取り組みました。

取り組み対象

  • 取り組み対象
    医師,コメディカル,看護職
  • 取り組みの中心部署・人物
    院長、多職種連携チームメンバー
  • 取り組み詳細
    骨折リエゾンサービスの導入により、これまで医師が主体であった骨粗鬆症治療に看護師やリハビリスタッフ、薬剤師,栄養士も加わって、より丁寧でち密な患者指導や教育ができるようになった。このことにより多忙な医師の負担軽減に大きく貢献するとともに患者の治療へのモチベーションの向上や。家族の理解が深まってこれまで低かった治療アドヒアランスが飛躍的に向上した。

実施後の成果

Ⅴ.その他_成果
International Osteoporosis Foundation(国際骨粗鬆症財団)が認証するBest Practice Framework(BPF)の認証
成果の出た対象 ☑医師,☑コメディカル,☑看護職
成果に影響を与えた取り組み 【取組(1)】 【取組(2)】
成果指標 2016年6月、日本骨粗鬆症学会骨粗鬆症リエゾンサービス委員会ワーキンググループの先生方など周囲からの後押しにより、日本初となる「銀(Silver)レベル」の認証を受けることができた。骨粗鬆症領域において世界をリードする国際的な評価機構から日本初の認証を受けたことのインパクトは大きく、国内におけるリーディング・ホスピタルとして、職員も自覚を新たにできた。その後、2019年6月には「金(Gold)レベル」の認証を得ることができた。
Ⅴ.その他_成果
脆弱性骨折患者の治療開始率と1年後の治療継続率の向上
成果の出た対象 ☑医師,☑コメディカル,☑看護職
成果に影響を与えた取り組み 【取組(1)】 【取組(2)】
成果指標 新潟リハビリテーション病院における取組の経緯と成果
2013年4月:治療開始率50%、1年後の治療継続率20%
2013年9月:FLSチーム(名称:再骨折予防サポートチーム)結成・準備開始
2013年10月:脆弱性骨折患者のFLS開始
2015年4月:治療開始率97.5%、1年後の治療継続率75%
2019年2月:FLSチーム結成から6年 治療開始率99%、1年後の治療継続率75%
Ⅲ.働きやすさ確保のための環境整備_成果
3 風土・環境整備 成果
・職員の自律したタイムマネジメント 
成果の出た対象 ☐医師,☑コメディカル,☑看護職
成果に影響を与えた取り組み 【取組(3)】
成果指標 ・「脆弱性骨折(大腿骨近位部骨折など)患者の二次骨折予防」という大きな目的を持ったチーム医療の具現化により、職種の壁を超えたコミュニケーションが活性化し、「風通しが良くなった」と話すスタッフが増えた。
・にいがた子育て応援企業(新潟県認定)
・子育てサポート企業(厚生労働大臣認定) 
Ⅳ.働きがいの向上_成果
1 キャリア形成支援 成果
研修・学会への参加職員数や、職員による学会への発表数が増えている
成果の出た対象 ☑医師,☑コメディカル,☑看護職
成果に影響を与えた取り組み 【取組(4)】
成果指標 日本骨粗鬆症学会、ならびに、日本脆弱性骨折ネットワークへの参加と発表が増えている。学会や製薬会社主催の講演会への積極的な参加に留まらず、自分たちが主となって新潟県骨粗鬆症サポーター制度を立ち上げ、他施設との合同勉強会を継続して開催している。より専門性を高め、キャリア形成に繋げている。
Ⅱ.職員の健康支援_成果
1 健康管理 成果
・法人の所属するNSGグループでは「NSG健康サポートクラブ」の設立により、社員の健康保持及び健康増進に積極的取んでいる
成果の出た対象 ☑医師,☑コメディカル,☑看護職
成果に影響を与えた取り組み 【取組(5)】
成果指標 ・新潟市健康経営認定事業所 ゴールドクラス
1.健康診断結果の要精査者または、要治療者に対し医療機関受診確認書の提出をお願いし、受診までをサポート、管理することで受診率の向上につながっている。
2.健診受診者限定特典を設け、専門職による運動、栄養指導などのサポートを行っている。
3.ストレスチェックの実施により、メンタル不調の発生を未然に防ぎ、ストレス値を事業所ごとに集計し分析することで、ストレス値の高い事業所の業務改善や、職場環境改善に努め、該当者に面接指導の案内を行っている。

これまでの取り組み成果に対する院内の声・反応

以下、職員からのメッセージである。①自分たちの病院が日本で初めての国際的な認証病院として評価されたことで、自信につながった。②様々な取組みの中で、個々の職員の新たな能力の発見も大きな成果である。③この活動を通じて連携という意味をもう一度考える良い機会となった。そして連携の大切さをあらためて実感した。④自分たちの小さな活動が日本全国に広がって骨折で苦しむ高齢者、その家族が一人でも減ることを願っている。

今後の課題等について

「大きな命題のもと多職種がチームを結成し、患者さんやご家族、治療に関わる医療従事者への情報提供を行いながら、地域とも連携して退院後の患者さんの治療継続をサポートする」ということの取り組みを、地域包括ケアのよい事例として、他疾患に応用していけたらと考えています。当院では、チーム医療を進めるうえで様々なツールを用いていますが、これらを簡便化させて活動することもできると思います。
今後の課題は大きく分けて、「①データ分析」と「②教育」の二つが挙げられます。
①データ分析
これまでの取り組みによって蓄積されたデータの統合・分析を進めることです。骨粗鬆症治療の開始率と継続率など治療状況に関するデータをスタッフにフィードバックすることは、モチベーション向上にも繋がります。また、現在、骨粗鬆症マネージャー(看護師)を中心にしてリエゾンチームが退院後の介護度に関する調査を行っています。脆弱性骨折患者に対するチーム医療が介護度に及ぼす影響をデータとして示せれば、費用対効果の面で活動を推進する支えになると考えています。
②教育
脆弱性骨折(大腿骨近位部骨折など)の治療に関わるすべてのスタッフが常時、一定水準のケアを実施できることを目指すとともに、新しいスタッフが加入した際にも早期にレベルアップができるような教育体制を整える必要があると考えています。また外部の施設、医療・介護担当者とのネットワークづくりが重要と考えて定期的な研修会を開催し、交流を広げることを考えています。さらに新潟骨を守る会の事務局として市民への啓発活動を企画しています。

取り組み・提案者概要

取組者
病院単体での取組
法人名
医療法人愛広会
病院名
新潟リハビリテーション病院
法人(病院)の開設主体
医療法人
所在地
新潟県新潟市北区木崎761番地
主たる医療機能の特徴
回復期機能
一般病床
病床数: 108
 
入院基本料:15対1
療養病床
病床数: 60
 
入院基本料:その他
結核病床
病床数:
 
入院基本料:
精神病床
病床数:
 
入院基本料:
その他病床
病床名:
 
病床数:
 
入院基本料:
一日あたりの平均外来患者数
233人(平成30年度数値)
一日あたりの平均在院患者数
123人(平成30年度数値)
一般病棟の平均在院日数
19日(平成30年度数値)
病床稼働率
73%(平成30年度数値)
職員総数
人(年度数値)
医師
看護職
医師事務作業補助者
看護補助者
医師の交代制勤務の有無
なし
看護師の交代勤務の状況
2交代制(変則含)
勤務環境改善についての表彰・認定等について
1.新潟市健康経営認定事業所 ゴールドクラス
2.国際骨粗鬆症財団 Capture The Fracture 金レベル
3.にいがた子育て応援企業 (新潟県認定)
4.子育てサポート企業(厚生労働大臣認定)