国の施策情報

医療機関の勤務環境の改善に向けて

人口減少、若い世代の職業意識の変化、医療ニーズの多様化に加え、医師等の偏在などを背景として医療機関等による医療スタッフの確保が困難な中、国民の皆様が将来にわたり質の高い医療サービスを受けるためには、医療機関の勤務環境の改善により、医療に携わる人材の定着・育成を図ることが必要不可欠です。長時間労働や当直、夜勤・交代制勤務など厳しい勤務環境にある医師や看護職員、コメディカルをはじめとする医療スタッフが健康で安心して働くことができる環境の整備が喫緊の課題となっています。

そのため、厚生労働省では、平成23年6月に取りまとめた「看護師等の『雇用の質』の向上に関する省内プロジェクトチーム報告書」に基づき、看護職員を中心とした医療スタッフの勤務環境の改善に関する取組を進めることとしました。

その後、取組の更なる充実・強化を図るためには、医師や看護職員、コメディカルをはじめとする幅広い医療スタッフについて医療機関全体で「雇用の質」の向上に取り組むことが重要であるとの認識の下、平成25年以降の対応を含めた検討の結果を、平成25年2月に「医療分野の『雇用の質』向上プロジェクトチーム報告」として取りまとめました。

そして、厚生労働省委託事業による調査研究や関係審議会での議論を経て、平成26年10月1日には、医療機関の勤務環境改善に関する改正医療法の規定が施行され、各医療機関がPDCAサイクルにより計画的に勤務環境改善に取り組む仕組み(勤務環境改善マネジメントシステム)を導入すること等とされました。

これを受けて、勤務環境改善マネジメントシステムに関して、厚生労働省告示第三百七十六号「医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する指針」、「医療分野の「雇用の質」向上のための勤務環境改善マネジメントシステム導入の手引き」が、策定されました。

引き続き、医療政策と労働政策が連携し、医療関係団体、医療現場のご意見なども踏まえながら、医療機関の勤務環境の改善に向けた取組を進めていきます。

関連資料について
「医療分野の勤務環境改善マネジメントシステムに基づく医療機関の取組に対する支援の充実を図るための調査・研究」

厚生労働省では標記委託事業の中で、平成27年度から医療機関の勤務環境に関するアンケート調査を行っています。(調査結果は以下よりご参照可能です。)

※過去の「病院の勤務環境に関するアンケート調査」の結果については、報告書にてご確認ください

医学生向けの医師の働き方改革等に関する講義を厚労省がサポートします。

厚生労働省では、医学生向けに医師の働き方改革等に関する講義を実施する大学医学部に対し、働き方改革に詳しい医師や弁護士等の講師を無料で派遣するなど、大学のご要望に応じて講義の実施をサポートしています。
講義の実施を検討中の大学医学部のご担当者様は、お気軽に以下までご連絡・ご相談下さい。
 
ランゲート株式会社(運営事務局)
 〒604-8141 京都市中京区泉正寺町328 西川ビル4F
TEL :075-741-7862 FAX:075-741-7863 MAIL:rodohokyoiku@mb.langate.co.jp
専用HP http://www.langate.co.jp/roudou2023/index.html

 また、各大学医学部において医学生向けに医師の働き方改革等に関する講義を行う際に、指導者の方が活用できる教材用資料「明日の医師たちへ」を作成していますので、講義実施に当たりご活用ください。

<明日の医師たちへ(分割版)>(下記の行毎にダウンロードできます)

「医学部等における労働法教育を考えるシンポジウム」の動画・資料掲載について

医師の働き方改革を進めるためには、大学医学部での講義実施などを通じて、医学生や若手医師の方々に、医師の働き方改革の趣旨や関連する法令の知識などを知ってもらうことが重要です。このことをより多くの関係者の方々に知っていただき、医学部での労働法講義などの取組みがさらに進んでいくよう、令和5年2月22日に「医学部等における労働法教育を考えるシンポジウム」を開催しました。以下にその動画及び当日配布した資料を掲載しておりますので、是非ご覧ください。

本シンポジウムでは、
・大学医学部において労働法講義を担当した医師・弁護士の講師から事例発表を行い、講義・資料で工夫したポイント等を解説
・医学部における労働法の教え方、講義のあり方などについて、講義講師を担当した医師による意見交換
・文部科学省から「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の改訂について説明
などを行いました。

特に、医学部や医療機関のご関係者や医師の働き方改革に係るセミナー等について企画、講演等される方に参考となる内容となっております。講義事例発表ごとの動画も掲載しておりますので、各事例発表の資料と併せてご覧いただくと、講義実施などにあたって、より具体的なイメージを持ちやすくなると思います。

医学等における労働法教育を考えるシンポジウム(全体版)

講義事例発表①(河野恵美子先生)

講義事例発表②(神村裕子先生)

講義事例発表③(前川宙貴先生)

シンポジウム配付資料
医師及び医療従事者の働き方改革の推進に係る特別償却制度について

「医師は全業種の中で最も長時間労働の実態にある」ことを踏まえ、医師の働き方改革を進め、医師の健康を確保し地域における安全で質の高い医療を提供するため、2019年度税制改正において、医師・医療従事者の勤務時間短縮に資する一定の設備について、特別償却ができることになりました。

詳しくはこちら→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/quality/
(ページ下方に掲載されています)
勤務実態調査支援ツールの提供について

自院に勤務する医師を対象に勤務実態を調査するためのツールを、各都道府県の各都道府県の医療勤務環境改善支援センターを介して提供致します。ツールの提供を希望される医療機関は、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターにご連絡ください。

↓医療勤務環境改善支援センターの一覧はこちら
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/work-improvement-support-center

提供するツールは、医師の働き方改革が大学病院勤務医師の働き方に与える影響に関する研究*を行った際に、研究班が用いた「調査票」と「集計用エクセル」を、研究班の許可を得て大学病院以外の医療機関でも同様の調査を実施できるよう厚生労働省で一部改変したものです。  「集計用エクセル」の集計方法は、必ずしもご自身の医療機関の勤務形態や勤務実態等に適しているとは限りませんので、集計用エクセルにより得られた結果については、使用者の自らの責任の下でお取り扱いください。

*令和2年度厚生科学研究「新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた医師の働き方改革が大学病院勤務医師の働き方に与える影響の検証とその対策に資する研究」