取組事例・提案の紹介

看護職の働き方改革~勤務時間の変更を中心とした看護職の働き方の総合的改革~

取組・提案者概要

取組者
法人全体の取組
法人名
社会医療法人 財団新和会
病院名
八千代病院
法人(病院)の開設主体
医療法人
所在地
愛知県安城市住吉町2丁目2-7
主たる医療機能の特徴
急性期機能
一般病床
病床数: 270
 
入院基本料:7対1
療養病床
病床数: 52
 
入院基本料:療養病棟入院基本料1
結核病床
病床数:
 
入院基本料:
精神病床
病床数:
 
入院基本料:
その他病床
病床名:回復期リハビリテーション病棟
 
病床数:52
 
入院基本料:13対1
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一日あたりの平均外来患者数
900.3人(平成29年度数値)
一日あたりの平均在院患者数
307.8人(平成29年度数値)
一般病棟の平均在院日数
10.3日(平成29年度数値)
病床稼働率
77.8%(平成29年度数値)
職員総数
835人(平成29年度数値)
医師
62人
看護職
384人
医師事務作業補助者
15人
看護補助者
56人
医師の交代制勤務の有無
なし
看護師の交代勤務の状況
2交代制(変則含),オンコール体制
勤務環境改善についての表彰・認定等について
平成28年 日本看護協会 看護職のワーク・ライフ・バランス推進 看護サウルス賞

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取り組んだ内容

【取組(1)】
Ⅰ.働き方・休み方改善
1 労働時間管理
その他の情報通信機器を活用した業務効率化・省力化を推進している
【取組(2)】
Ⅲ.働きやすさ確保のための環境整備
1 仕事と子育て・介護等の両立支援
院内保育所や提携保育所等を整備している
【取組(3)】
Ⅲ.働きやすさ確保のための環境整備
1 仕事と子育て・介護等の両立支援
子育て・介護等を行っている職員が雇用形態や勤務形態を選択可能な制度(短時間正職員制度、フレックスタイム制度、裁量労働制等。男性職員・女性職員ともに対象)を整備している

取組のきっかけ、背景、取組前の問題点

 看護師不足もあり、育児中のスタッフも未婚や子どものいないスタッフもひとまず子育てが落ち着いたスタッフもそれぞれの立場で、不公平感を持ち働いている現状があった。平成25年度の日本看護協会ワークライフバランス推進ワークショップの取り組みで多様な勤務形態を取り入れすぎたため、同じ部署の同僚ですらどんな働き方をしているのかわからない状況に陥って不満を抱えていた。そのため、これまでの取り組みを踏襲しつつ、働き方に係る制度や要件、勤務時間、保育体制を見直し、見える化し共有した。

取組対象

  • 取組対象
    看護職
  • 取組の中心部署・人物
     平成29年7月に病院幹部会の承認を経て病院総務・人事課と看護部でプロジェクトを立ち上げた。
    メンバーは、総務課次長、人事課長、人事係長、看護部長、看護副部長2名、看護課長2名計8名。
  • 取組詳細
     情報収集・情報共有として、①育児中のスタッフに現在の仕事との両立で困っていることなどの意見交換を行った。②看護課長会でも働きやすい職場についてのグループワークを実施した。③看護部内のWLB委員会(平成28年度)、CS委員会(平成29年度)で、委員同士働き方に対する意見交換や委員による各部署の悩み・不満等の情報収集に努めた。④ 職員満足度調査では、給与の問題、働き方に対するスタッフそれぞれの立場での不公平感・不満の訴えがあった。
     その結果をまとめると、(1)夜勤について部署間、個人で違いがあり、部署の配属・異動に支障が出ている (2)勤務時間が複雑で、勤務のバランスがとりずらく、公平なシフトが組みにくい (3)育休復帰者個々の都合が優先され、職員同士に不公平感がある (4)子育て中の職員も悩みを抱えている…子どもと家族の時間が取れない、休みにくい風土がある等 (5)保育所への不満がある… 場所が悪い、 運営内容が不十分、夜間保育、病児保育がない、保育内容が心配、食事がよくない (6)その他 • 「育児短時間勤務職員」の“働き方”と、“待遇”が周知されていない • 「16時間夜勤」において、健康管理におけるリスク、安全のリスクが大きいことが実証されており、日本看護協会のガイドラインに近づける努力が必要である • 保育士に対する保育の質向上のための教育が不十分 • 自前での保育士確保が難しくなっている
    【正規職員の要件と勤務時間】
     原則、通常勤務をする正規職員の要件を明確化した。それをベースに【育児短時間】を規定した。育児短時間の取得を6時間・7時間(3歳まで)の他に週休3日制(6歳まで)を導入した。また、小学1年生の壁を乗り越える支援として、小学1年生の4~9月取得可能とした。
    【夜勤制限】
     制限と免除を区別してその要件を明確化した。法律では小学校就学前までとなっているが、当院は末子の中学校卒業まで取得可能とした。免除に関しては、「言ったもの勝ち」にならないように法律を基に要件を明確化した。
    【保育時間の延長と保育内容の充実】
     保育する子どもの人数は増加の一方、保育士の確保が自前での限界に来ていたため、外部委託を決断した。それに伴い、利用者の負担費用も当院の負担費用も増加したが、子どもに対する保育士の確保や保育内容の充実、また、木~土曜日に限りだが22時まで保育時間を延長することができた。
     正規職員の要件、勤務時間、保育所を三位一体の改革に取り組んだ。これらの改革内容は、実際現場で働くスタッフが意義と内容を理解し、活用し、お互いさまの職場環境を作ることが重要であるため、全体説明会、各部署の出張説明会を複数回実施し、質疑応答、スタッフとの意見交換をおこなっていった。

実施後の成果

Ⅰ.働き方・休み方改善_成果
1 労働時間管理 成果
・勤務時間を6パターンに整理、それに合わせた業務改善                          ・勤務表に月総労働時間の見える化
成果の出た対象 ☐医師,☐コメディカル,☑看護職
成果に影響を与えた取組 【取組(1)】 【取組(2)】 【取組(3)】
成果指標 【時間外労働の削減】結果が出ていない
【勤務パターンの整理・勤務表の見える化】
・夜勤を13時間拘束、実働12時間に全部署変更。勤務形態を夜勤、日勤、ロング日勤、早出、遅出、半日勤務の6パターンに整理。勤務時間変更に伴う業務改善。 
・勤務日数で管理していた勤務表を年間総労働時間数及び月別総労働時間を設定し、それを超えない範囲での勤務表の時間調整を実施。職員満足度調査の「仕事の分配は公平か」の項目を取り出すと、平成27年3月は、34.76%、平成29年11月は、45.88%と向上した。
Ⅲ.働きやすさ確保のための環境整備_成果
1 仕事と子育て・介護等の両立支援 成果
・保育時間の延長                     ・保育内容の充実
成果の出た対象 ☐医師,☑コメディカル,☑看護職
成果に影響を与えた取組 【取組(1)】 【取組(2)】 【取組(3)】
成果指標 【保育所の充実】
・木~土曜日の保育時間を7時30分から22時(通常20時)までとした。 
・外部委託にしたことで、年間・月間保育計画が立案され、保育士の指導・育成が徹底した。 
・子どもの数に合わせた手厚い保育体制が取れるようになった
Ⅲ.働きやすさ確保のための環境整備_成果
1 仕事と子育て・介護等の両立支援 成果
・育児短時間の取得を6時間・7時間(3歳まで)の他に週休3日制(6歳まで)を導入 ・小学1年生の壁を乗り越える支援として、小学1年生の4~9月取得可能
成果の出た対象 ☐医師,☐コメディカル,☑看護職
成果に影響を与えた取組 【取組(1)】 【取組(2)】 【取組(3)】
成果指標 【育児短時間・夜勤制限制度の活用実態】 
平成30年4月より本格実施予定のため成果は未定。しかし、「これだったら6時間を7時間に延ばせるかも…」「週休3日にして子どもとの時間を確保できる」「しくみがわかりやすくなった」等の意見が聞こえている

これまでの取組成果に対する院内の声・反応

Ⅰ.については、夜勤時間を短縮した病棟においては、夜勤の体への負担が軽くなったという意見が聞かれ、もう16時間夜勤には戻りたくないとのこと。反面、ロング日勤による17時30分~21時までの勤務が1日程度以前より増えたことで負担を感じているスタッフもいるため、今後の課題が残る状況である。月の勤務を日数管理から時間管理にしたことで、他者の勤務時間にも理解を示すようになり、自身の働き方にも関心が高まり、休日も増加した。 反面、有給休暇の取得がしずらくなったとの意見もある。
Ⅱ.については、自前で保育士を採用していた頃は、子どもの数が増加しても保育士の増員ができず、最低基準を守る範囲での保育体制だった。そのため、保育士不足により、保育士の育成はできていない状況だった。保育を外部委託したことで、子どもの人数に応じた手厚い保育士の配置が可能になり、保育内容向上、安心して預けられる環境が整備できた。 保育内容に関するクレームはなくなった。反面、外部委託により保育料が上がり、利用者の負担は多少増加したが、近隣病院の保育料の調査を行い、適正な料金設定ができたと思っている。
Ⅲ.については、育児短時間や夜勤制限のルールを明確にしたことで、それを参考に育休中に育休復帰後の働き方をイメージして家族間の調整が明確にできるようになった。3歳を過ぎた職員が週休3日制を選択したり、子どもが1年生になったスタッフが半年間の育児短時間を活用する事例も出てきた。夜勤制限を末子の中学卒業までに延長したことで、精神的負担が軽減したという意見もある。また、独身者や子育てがひと段落した職員も育児短時間や夜勤制限のルールが明確になったことで理解が深まり不満の声が減少した。
Ⅰ~Ⅲ.の取り組みは、3つが深く関連している。夜勤時間の変更においては、全部署の開始が平成30年6月であった。約3か月が経過して、評価を行う予定である。看護部のCS委員会を通じてアンケートを作成し、職員全体の意見を聞き、これまでの改善評価及び今後の課題を具体化にしていく予定である。

今後の課題等について

 いずれも平成29年12月に完成し、説明会を開催した。各部署の状況に合わせて平成30年2月及び3月から試行期間に入った。業務改善を進める中で、早い部署で平成30年3月1日、遅い部署で6月1日に勤務時間の変更とそれに伴う業務改善が整う予定である。そのため、成果指標が数値として出せない現状である。働き方改革に乗り出して、看護課長も病院事務も現場のスタッフと意見交換する機会が増加したためか、【職員満足度調査】では、看護職の総合的満足度は前年度より改善した。平成27年3月:2.36点→平成29年11月:2.75点(調査時期が異なっているため正しい評価はできにくい)。 
【育児休業者への支援について】
 育児復帰後の育児短時間や夜勤制限については明確になり、選択肢も増え、選択しやすくなったとの意見も聞かれる。しかし、1年以上産休・育児休業するスタッフへの支援がまだまだ不足している現状がある。
 今後は、妊娠した時から先々の見通しが持てるように「子育て支援パス」(現在取り組み中)の作成。育休復帰前の教育計画、交流会の開催、子育てママのセルフコーチング研修会等、育休復帰後の支援体制を充実させ、子育てと仕事の両立ができるような仕組みづくりが課題である。
【時間外勤務の削減】
 勤務時間の変更に伴い、同時に業務改善も進めてきた。今後、時間外の削減の状況を注視すると共に、さらなる具体的改善課題を明確化していく必要がある。
【働き方改革全般】
 働き方改革に取り組むにあたり、約2年間、現場の看護課長やスタッフと意見交換を実施したことで理解を得てきた。また、スタッフは自分自身の働き方や同僚の働き方にも関心が持てるようになってきた。今後も意見交換やより良い改革に向けて現場のスタッフの意見を取り入れた改革への取り組みを継続していくことが課題である。新たな勤務時間で勤務表を作成していくには、スタッフの理解はもとより、それを作成する管理者の負担が大きい。そのため、勤務表作成を軽減する勤務表作成ツールの検討が必要である。

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