取り組んだ内容
【取組(1)】 Ⅰ.働き方・休み方改善 |
2 勤務負担軽減 |
その他 |
PDCAサイクルをベースに、業務改善として、整形外科クリニカルパスの導入、データベース用紙の改良、日常生活機能評価用紙の改良、フローシートの活用、外来看護師の病棟応援土曜日出勤に取り組んでいる。応援機能として、外来から病棟への応援体制の構築に取り組んだ。 |
【取組(2)】 Ⅳ.働きがいの向上 |
1 キャリア形成支援 |
正規・非正規を問わずすべての職員のキャリア形成支援(研修等に関する情報提供や研修等への職員参加の支援、子育て等と両立しながらの勤務の継続に関する相談窓口の設置や情報提供等)が実施されている |
取り組みのきっかけ、背景、取り組み前の問題点
取組前は各病棟や外来といった所属間でのつながりが薄く感じられ、所属間の枠を越えた、患者さんに十分な看護が提供できているのか、つまり良質な看護ができているのか、またその裏返しとして働きがいを感じて仕事ができているのか疑問があった。そこで平成27年度より日本看護協会が実施する「看護職のワーク・ライフ・バランス推進ワークショップ」事業に取り組み、インデックス調査から開始した。その結果から連続した休暇を取得できるか、有給休暇は必要に応じて取得できるか、また現在の働き方への満足度などの項目が低い数値を示した。
これらの問題点を改善することで、やりたい看護ケアが十分にできるような応援体制をとることで時間が取れて、働き方に満足できるようになり、その結果として、スタッフの満足度の向上や、働きがいをアップにつながり、それらが一番の改善になると考えられた。
取り組み対象
- 取り組み対象
看護職
- 取り組みの中心部署・人物
看護部長、師長、主任
- 取り組み詳細
まずミッションとビジョンを制定した。ミッションは、「地域の中核リハビリテーション病院として、急性期から回復期にかけて一貫した最適な医療・看護・リハビリの提供により、多くの方の早期の自宅復帰に貢献する」とし、ビジョンは、「職員が誇りとやりがいを持って働くことができる職場環境づくり」とした。
アクションプランとしては、業務改善、応援機能、看護実践の評価と承認の3項目を掲げ、それぞれ3つをリンクさせた。取り組みとしてはPDCAサイクルをベースに、業務改善として、整形外科クリニカルパスの導入、データベース用紙の改良、日常生活機能評価用紙の改良、フローシートの活用、外来看護師の病棟応援土曜日出勤に取り組んでいる。
応援機能としては外来から病棟への応援体制の構築などに取り組んだ。これら二点の具体的な内容として、OP入院患者の情報収集、リハビリの送迎、朝の食事介助、内服薬の整理、夜勤の応援などが挙げられる。
看護実践の評価と承認、すなわちキャリアアップ支援、働きがいの向上としては、「やりがいを持たせる」「頑張りを認める」をキーワードに、eラーニングによる学習体制の構築に取り組み、インセンティブとして手当を与えることとし、自主的な学習を促した。また、それまで専門職としての自己研鑽とみなしていた自主的な研修への参加も出張扱いとし、その研修参加費用も看護実習の受託実習料から捻出するようにした。また出張に関する手続きの簡略化も行い、これらをインセンティブとして研修に参加しやすい環境づくりを行った。
実施後の成果
Ⅰ.働き方・休み方改善_成果 | ||
2 勤務負担軽減 成果 | ||
日常生活機能評価用紙について、パソコンで入力できるようにして、A4用紙に1枚に簡略化してコメント欄を追加することで、ほとんどのスタッフが漏れなく記載できるようになり情報の正確性も高まり、時間短縮も行え効率化できた。 | ||
成果の出た対象 | ☐医師,☐コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(1)】 | |
成果指標 | 「パソコン入力なので、楽になった。」の声が多く、100%入力できている。時間短縮について量的な調査は難しいが、負担感の軽減に繋がった。 |
Ⅰ.働き方・休み方改善_成果 | ||
2 勤務負担軽減 成果 | ||
外来から病棟へ応援に来てもらうことで、人的、時間的な余裕が生まれ、安全に援助を行うことができ、業務がスムーズに運び、リハビリ前に休息できる時間も作ることができた。そして、看護スタッフのストレスを軽減できたことから看護ケアの質も向上できた。 | ||
成果の出た対象 | ☐医師,☐コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(1)】 | |
成果指標 | 各所属の週間予定(手術日、入院予約数、定期処方日、入浴等)に応じて、病棟・外来・手術室間で応援機能を発揮している。お互いの所属の理解にもつながり、所属を超えて協力し合う風土ができた。 |
Ⅳ.働きがいの向上_成果 | ||
1 キャリア形成支援 成果 | ||
組織が期待するような職員のキャリア形成(職員の業務遂行能力の向上、期待どおり又は期待以上の能力の発揮等)が実現されている | ||
成果の出た対象 | ☐医師,☐コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(2)】 | |
成果指標 | ・患者支援センターの看護師2名は、それぞれ社会福祉士と老人看護専門看護師の資格を習得し、入退院支援の充実とスタッフ指導・教育に尽力している。 ・特定行為研修に1名が今年度修了予定。次年度は脊損患者等を対象とした褥瘡治療予防やフットケアを行う「看護師外来」を開設し、在宅療養支援を強化していく。 |
Ⅲ.働きやすさ確保のための環境整備_成果 | ||
3 風土・環境整備 成果 | ||
職員の働く満足度が前回調査と比べて向上している | ||
成果の出た対象 | ☐医師,☐コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(1)】 | |
成果指標 | インデックス調査と同じ項目でアンケート調査したところ、「そう思う」「ややそう思う」の合計が、「気兼ねなく帰れる」では85%で20.4%増加、「現在の働き方に満足している」では、75%で6.3%増加した。 |
これまでの取り組み成果に対する院内の声・反応
業務改善の具体例として、回復期リハビリ病棟では、日常生活機能評価用紙について、スタッフから何を記載したらいいのか、手書きだと面倒だ、別の用紙に記載するのが煩わしい等と多くの意見が寄せられたので、そこで、学習会を実施し、パソコンで入力できるよう、改良した。また、記録用紙が入院時と退院時の計2枚の用紙をしようしていたものをA4用紙に1枚に簡略化し、コメント欄を追加することで、ほとんどのスタッフが漏れなく記載できるようになり情報の正確性も高まり、時間短縮も行え効率化できた。
応援機能の成果としては、外来から病棟への応援体制、朝の食事介助に関して、従来は起床後からリハビリ時間まで更衣、車椅子への移乗、排泄、移動、食事、洗面介助を短時間の間で実施するのに夜勤看護師と看護助手の合計6名でこれらの援助を行っており、大変であった。また約15人が食堂で摂取され、特に嚥下障害や高次脳機能障害で食事介助は多い時に4~5人、介助を要する時間は40~60分かかるため、2人の患者を交互に介助したり、開始時間をずらして患者に待ってもらう等、時間的なロスも大きかった。そこで、外来から病棟へ応援に来てもらうことで、人的、時間的な余裕が生まれ、安全に援助を行うことができ、業務がスムーズに運び、リハビリ前に休息できる時間も作ることができた。そして、看護スタッフのストレスを軽減できたことから看護ケアの質も向上できた。
看護実践の評価と承認の取り組みの成果としては、インデックス調査において「組織が能力開発のための研修の実施、または参加を支援してくれる」という問いに対し、肯定的な回答が平成27年度の78%から平成28年度は89.8%と大幅に向上した。
以上のそれぞれの取り組みが、「スタッフの満足度の向上」や、「働きがいをアップする」という一番の改善目標に結び付いているかその結果をインデックス調査からみると、「看護職員を大切にする組織である」という項目に対し、肯定的な回答が平成27年度の63.4%から平成28年度は91.8%へと非常に増加している。また業務内容は増加し、日々忙しくなっているにもかかわらず、「現在の働き方に満足している」という項目に対し、肯定的な回答が平成27年度の43.9%から平成28年度は77.6%へと約1.8倍も増加している。以上のことからこれらの取り組みは、非常に良い効果をもたらし、改善目標に近づいているといえる。
今後の課題等について
今後まず取り組む課題としては有給休暇の取得率の向上が挙げられる。現在の取り組みにおいて、所属間でバラツキのあった取得率の平準化ができ、業務の平準化も進めることができた。これからの取り組みにより全体の底上げを図っていきたい。
他にも業務改善と応援機能により、さらなる看護業務の平準化と効率化、時間外勤務の削減を図る。また互いに認め合い、高め合い、自らキャリア開発していけるよう支援するための教育環境の整備を図っていきたい。またケアに十分な時間が取れ、やりがいを持って働けるように支援する。専門性の発揮、地域との連携システムの構築し、ミッションに上げられた内容を達成していきたい。
取り組み・提案者概要
- 取組者
- 法人名
- 地方独立行政法人 奈良県立病院機構
- 病院名
- 奈良県総合リハビリテーションセンター(看護部)
- 法人(病院)の開設主体
- 地方公共団体等(都道府県、市町村、地方独立行政法人)
- 所在地
- 奈良県磯城郡田原本町大字多722番地
- 主たる医療機能の特徴
- 一般病床
- 病床数: 50
- 入院基本料:10対1
- 療養病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- 結核病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- 精神病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- その他病床
- 病床名:
- 病床数:
- 入院基本料:
- 一日あたりの平均外来患者数
- 人(年度数値)
- 一日あたりの平均在院患者数
- 人(年度数値)
- 一般病棟の平均在院日数
- 日(年度数値)
- 病床稼働率
- %(年度数値)
- 職員総数
- 人(年度数値)
- 医師
- 人
- 看護職
- 人
- 医師事務作業補助者
- 人
- 看護補助者
- 人
- 医師の交代制勤務の有無
- なし
- 看護師の交代勤務の状況
- 勤務環境改善についての表彰・認定等について