取り組んだ内容
【取組(1)】 Ⅴ.その他 |
労働時間、超過勤務などの就業規則や育児・介護休暇などの制度の周知 |
【取組(2)】 Ⅰ.働き方・休み方改善 |
1 労働時間管理 |
時間外労働時間の削減に取り組んでいる |
【取組(3)】 Ⅰ.働き方・休み方改善 |
2 勤務負担軽減 |
補助職(医師事務作業補助者、看護補助者等)を配置している |
【取組(4)】 Ⅴ.その他 |
人事評価制度の目的や方法、マニュアルの周知とより良い制度となるために研修会の実施 |
取り組みのきっかけ、背景、取り組み前の問題点
平成28年度頃、当院は医師・看護師の確保が困難であり、特に看護師は退職率も高く、新卒者の採用も進んでいない現状であった。経営面でも改善が必要な状況であった。この年、岐阜県医療勤務環境改善支援センターの訪問があり、どのような支援が受けられるか、支援を受けながら他院がどのような活動をしているか、その報告会を兼ねたセミナーがあることなどの説明を受けた。このセミナーに事務部長、庶務課長、看護部長が参加した。他院の活動の成果や講師の話の中に職場環境改善は経営改善と同時に行うべきという内容に感銘を受け、当院も支援を受けて活動を開始しようと経営会議で決定した。
取り組み対象
- 取り組み対象
医師,コメディカル,看護職
- 取り組みの中心部署・人物
医療勤務改善委員会
- 取り組み詳細
<平成29年度>
①医療勤務改善委員会を立ち上げ、所信表明を副院長に行ってもらった。委員長は看護部長、副委員長は副院長、メンバーには、事務部長、庶務課長、事務員、看護師、コメディカルが参加している。
※令和元年のメンバー合計14人(看護部長、副院長1名、事務部長、医師1名、事務員4名、看護師5名、薬剤師1名、検査技師1名)
岐阜県医療勤務環境改善支援センター職員からの制度の説明を受けた。病院として取り組む委員会であることから参加メンバーにはやる気のある方を歓迎すると募集した。
②現状把握のアンケート調査:(支援センターから提示された調査用紙を用い行った):職場への思いについては、給与は妥当であるか、自由に話し合える組織かの2つに対してはそう思う、ややそう思うが60%であったが、その他の項目は70%以上であった。残業については70%が負担と回答していたが、実際の残業時間は多くない状況であった。年休取得は、必要に応じて取得できると80%の職員が回答していたが、取得促進の施策については80%程度の職員が分らないと回答していた。他に、産前産後、育児・介護休暇、人事評価制度などについては、半数以上がわからないと回答していた。
③課題の抽出:これらの結果をもとに、課題抽出のための話し合いを委員会で行い、いろいろな制度が整っているが周知できていないこと、残業や年休取得について、職種によっては問題があること、人事評価制度の周知と制度を良くしていく必要があるという3つを課題とし3つのグループに分かれて活動を開始した。(「制度を周知する」Gは事務部長をリーダーとした。「超過勤務の削減・年休取得の増加」Gは副院長をリーダーとした。「人事評価の周知と改善」Gは看護部長をリーダーとした。)
<平成30年度>
①制度の周知Gは、知りたい制度を把握するために調査を行った。結果は「労働基準法と就業規則:時間外労働と賃金など」「育児・介護休業、休業給付について」「国民年金と厚生年金」「労災や雇用保険」などであった。この結果から、第1回目の説明会(時間外労働、休業と休暇について)をランチタイムに行い資料を院内イントラネットにアップし、誰でも見ることができるようにした。
②超過勤務削減・年休取得の増加Gは36協定に基づき医師は100時間/月、その他職員は45時間/月を超える職員をリストアップした。また、サービス残業の実態を調査した。基準の時間を超えている職員について、医師は副院長から、他の職種は主に事務職員であったため、事務部長から業務の見直しを進めるように関わった。結果、超過勤務100時間/月を超える医師はなくなったが、45時間/月を超える職員は0にはなっていない。超過勤務の調査については、約半数が申告していないと回答していた。理由は、申告しづらい雰囲気、上司が残っているので帰りにくいなどであった。結果は各部署へ返却し、改善を依頼した。看護部は、結果から、日勤の前残業(朝、情報収集のために早く出勤しカルテから情報を得たり、内服薬などの準備をすること)について取り組んだ。結果、一部の病棟以外は、8時30分の5分前にスタッフステーションに入ること、始業時間から情報収集をすることができるようになった。
③人事評価の周知と改善Gは、人事評価に関する認識について調査を行った。結果は、人事評価制度についてわからないと回答した職員は約50%、当院のマニュアルを知らないと回答した職員は42%、評価面接を受けたことがないと回答した者は20%であり、今の制度に満足しているかの質問に満足しているは36%、どちらでもないは52%であり、残りの12%の者が満足してない結果であった。結果を踏まえ、岐阜県医療勤務環境支援センターと相談し、人事評価に関する研修会を開催した。
<令和元年度>
①制度の周知Gは、労働基準監督署の調査結果により、以下の周知と見直しを行った。職員の入退館時刻の電子管理、労働時間や休憩時間の再周知、超過勤務簿の見直しなど。後半は、就業規則の再周知、給与規定の説明、働き方改革法に沿った年休取得の推進などの説明を行う予定である。
②超過勤務削減・年休取得の増加Gは、超過勤務の推移と働き方改革法も受け、年休取得率についてもモニタリングを行い定期的に把握し、取得できていない職種の所属長に働きかけた。また、年休取得を伸ばすには上司の考えが影響するため、各職種の管理者に相当する者を対象とした研修会を企画している。医師は100時間/月を超えている者、その他の職種は45時間/月を目安にモニタリングと指導を継続した。医師には医師事務補助を活用するように進め、その他の職種には、人員の見直しや業務の見直しを事務部長が進めたことで時間外労働は減ってきている。医師の超過勤務100時間/月以上者は5名から1~2名へ、コメディカルの超過勤務45時間以上者は、15名から5~6名くらいに減ってきている。毎月の集計を確認し、副院長が面接をしている。年休取得については、一部職種で少ないことから、庶務課より確認をしている。今後も継続して関わるとともに、職場を管理する立場の人に時間外動労の削減方法や年休取得を伸ばす方法について、研修会を行う予定である。
③人事評価の周知と改善Gは、当院の人事評価マニュアルは、手続きの内容が多く難しい表現もあるため、内容をかみ砕いて理解しやすいリーフレットを作成した。また、人事評価をより良いものにしていくために、評価者、被評価者の役割、人事評価面接のあり方や評価者・被評価者の役割、元気がでるフィードバックなどについて、研修会を企画している。
実施後の成果
Ⅴ.その他_成果 | ||
成果の出た対象 | ☑医師,☑コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(1)】 | |
成果指標 | 制度の説明会を複数回開催した。また、説明会で使用した資料をイントラネットに掲載した。難しい就業規則はわかりにくいが、資料は要点が明確で良いという意見も聞かれている。 |
Ⅰ.働き方・休み方改善_成果 | ||
1 労働時間管理 成果 | ||
時間外労働時間数が減っている | ||
成果の出た対象 | ☑医師,☑コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(1)】 【取組(3)】 | |
成果指標 | 医師で時間外労働が100時間を超えているものは平成30年は5~6名いたが、現在は1~2名になった。コメディカルの45時間を超えている者は2018年は16名ほどいたが、現在は5~6名になった。 看護部では、日勤の前残業を軽減することに取り組んだ。6病棟中、外科病棟1つを除き、前残業はなくすことができた。 |
Ⅰ.働き方・休み方改善_成果 | ||
2 勤務負担軽減 成果 | ||
年休取得について、モニタリングと取得できていない職種へ関わることで取得日数を増やす事ができた | ||
成果の出た対象 | ☑医師,☑コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(3)】 | |
成果指標 | 令和元年11月に労務管理、働き方改革法の概要について研修会を行った。制度の趣旨や詳細が理解できたと回答した者は8割であった。医療職は不規則な勤務であることから制度を遵守するのは難しいことがわかったというコメントが多くみられた。年5日間の年休取得については、一部の職種以外は、達成できそうである。看護部は年休取得を目標にあげており、平成27年までは平均7日程度であったが、平成30年は平均13.6日になった。 |
Ⅴ.その他_成果 | ||
成果の出た対象 | ☐医師,☑コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(4)】 | |
成果指標 | 平成30年度は人事評価の研修会を行った。アンケートからは、人事評価を理解することができたと回答したものが8割おり、これまでは、言われるままであったが、次からは、成果や努力したことをアピールしたいという前向きな言葉も聞かれた。 |
これまでの取り組み成果に対する院内の声・反応
・年休取得については、多くの看護師からは、希望の日にお休みをもらえることや勤務希望も聞いてもらえるという声がある。反面、病棟の看護師長は30名近いスタッフの勤務作成をすべての希望をかなえ作成しているが、かなり時間を要し疲弊している。医師については、常勤が1名しかいない診療科の場合、簡単に休むことができないと発言があった。休む場合は、診療科を休診とすることも必要となり、病院運営に影響する。人事評価研修後のアンケート結果からは、当院の人事評価制度について知らなかった者もいたが、人事評価の概要は良く理解できたと言う者や面談時は、準備して望みたいなどの声があった。
今後の課題等について
制度の周知については、知りたい制度は職員により違うため、難しい就業規則ではなく、いつでも気楽にほしい情報を確認できるような資料を整えていく必要がある。また、勤怠管理や時間労働の定義、管理する者が知っておくべきこと等、重要な事は、定期的に研修会を行う仕組み作りが必要である。時間外労働の削減と年休取得の増加については、今後もモニタリングしながら指導を継続する必要がある。この課題は職員が協力し合わないとできない。業務改善を継続し計画的に年休を取得できる職場作りが必要である。人事評価については、制度の理解と、面接を効果的に行うための評価者・被評価者のそれぞれの役割、などを理解してもらえるように活動してきた。今後の課題としては、評価基準や評価方法などについて、評価の精度を高められるように評価者研修も必要と考える。
取り組み・提案者概要
- 取組者
- 病院単体での取組
- 法人名
- 病院名
- 公立学校共済組合東海中央病院
- 法人(病院)の開設主体
- 社会保険関係団体(健康保険組合及びその連合会、共済組合及びその連合会、国民健康保険組合)
- 所在地
- 岐阜県各務原市蘇原東島町4-6-2
- 主たる医療機能の特徴
- 急性期機能
- 一般病床
- 病床数: 332
- 入院基本料:その他 急性期入院基本料Ⅰ
- 療養病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- 結核病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- 精神病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- その他病床
- 病床名:
- 病床数:
- 入院基本料:
- 一日あたりの平均外来患者数
- 607.8人(平成30年度数値)
- 一日あたりの平均在院患者数
- 264.9人(平成30年度数値)
- 一般病棟の平均在院日数
- 16.3日(平成30年度数値)
- 病床稼働率
- 79.8%(平成30年度数値)
- 職員総数
- 681人(平成30年度数値)
- 医師
- 57人
- 看護職
- 356人
- 医師事務作業補助者
- 26人
- 看護補助者
- 54人
- 医師の交代制勤務の有無
- あり
- 看護師の交代勤務の状況
- 3交代制(変則含),2交代制(変則含),オンコール体制
- 勤務環境改善についての表彰・認定等について