取り組んだ内容
【取組(1)】 Ⅴ.その他 |
安全・円滑な早期手術 |
1.初療時の全例内科診察 (70歳以上) 2.独自の専門内科受診基準 3.電子カルテ上の専用テンプレートの導入 ⇒多くの部門が容易に患者の状態を把握 ⇒内科対診依頼書の廃止 4.各部門のマニュアルの作成 |
【取組(2)】 Ⅴ.その他 |
既存疾患を含めた周術期の全身管理 |
1.病棟薬剤師(薬剤管理)入院から退院までの薬剤管理 2.リハビリテーション科による早期リハビリ支援と疼痛コントロール 3.精神科と連携してせん妄予防 4.看護師による誤嚥性肺炎の防止 5.栄養サポートチーム(NST)による栄養管理および栄養指導、骨粗鬆症予防の食事指導 6.老年病科医師による術後管理 7.ソーシャルワーカーによる退院・転院支援 |
【取組(3)】 Ⅴ.その他 |
二次骨折予防(骨粗鬆症治療、転倒予防) |
1.骨粗鬆症・転倒予防教室開催 2.骨折リエゾンサービス(FLS) 骨粗鬆症マネージャーが治療の継続調査や退院後の転倒状況の調査等 3.患者・家族へ向け再骨折予防手帳を利用し、治療を継続するシステムを構築 |
【取組(4)】 Ⅳ.働きがいの向上 |
1 キャリア形成支援 |
施設外の研修への参加を支援している |
1.FLSの取り組み内容や成果について、積極的に学会等で発表 |
取り組みのきっかけ、背景、取り組み前の問題点
高齢者の脚の付け根の骨折(以下、大腿骨近位部骨折という)について、整形外科が主導して手術待機時間の短縮を主眼とした取り組みを進めるなかで、内科系疾患や機能低下を併発していることが多い高齢患者をトータルに評価し、ケアを行うことの必要性や、院内紹介状等の部門間連携の阻害要因が明確になった。
高齢者の大腿骨近位部骨折患者の再骨折を防ぐために必要な骨粗鬆症の治療開始率が低く、患者教育の質や量にもバラツキが多かった。
副院長*は欧米では多職種連携での治療で効果がでていることを認識しており、チーム医療に取り組むことを決めた。(*当院の副院長で整形外科部長の澤口医師は大腿骨近位部(頚部/転子部骨折)の診療ガイドライン策定委員長である)
取り組み対象
- 取り組み対象
医師,コメディカル,看護職
- 取り組みの中心部署・人物
副院長兼整形外科部長
- 取り組み詳細
1、多職種連携でのチーム医療について病院長の了解を得て、病院のチーム医療として取り上げてもらった。各部門(整形外科・内科・放射線科・麻酔科、精神科、看護師、医学療法士、診療放射線技師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカー、事務職)からメンバーを集めた会議を、月1回開催するところからスタートした。
2、まず、改善策の実行の前に、データを収集・共有する仕組みを整備したうえで、副院長が「徹底的に能率を良くして仕事を減らす、その上で医療レベルを上げる」という意識づけをし、そこから詳細にデータ分析し、課題を抽出した。課題については、各部門で改良点を検討し、その後、部門間連携の問題点を検討し会議で共有する、というサイクルを確立し、取組を進めた。
3、改善策の成果については、定期的にデータを関係者に公開して、学会発表や講演等に積極的に活用してもらい、やりがいを持たせた。
実施後の成果
Ⅴ.その他_成果 | ||
1.術前待機期間、在院日数は、短くなる。 2.骨粗鬆症薬物治療率・継続率は高く、機能回復も良好になる。 3.平均入院総医療費は全国平均を下回る。 |
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成果の出た対象 | ☑医師,☑コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(1)】 【取組(2)】 | |
成果指標 | ・手術待機期間: 平均1.6日(全国平均4.3日) ・平均在院日数: 19.7日(全国平均36.2日) ・退院時の骨粗鬆症治療率90% |
これまでの取り組み成果に対する院内の声・反応
効率的かつ患者さんのためになる仕事をするという共通の目標に向け、お互いの役割を理解することで、信頼関係ができ、人間関係が良くなった。(全職種)
仕事の密度が上がり、患者さんが以前より良好に回復するため、プライドややりがいを持って働けている。(全職種)
今後の課題等について
整形外科の手術対象が拡大しているにもかかわらず、手術を行う整形外科医数の急な増加が見込めないこと、また外傷に限らず各専門分野の患者が高齢者である現状を考えると、整形外科医がより質の高い手術を数多く実施することに集中できるよう、整形外科治療をよく理解した整形外科老年病医(Orthogeriatrician)と連携を行うことが重要であり、整形外科老年病医の育成が急務である。
他の施設に展開するにあたっては、多職種連携による医療の質の向上が評価される(病院の収入増に繋がる)仕組みが必要である。
退院後も長期間にわたって骨粗鬆症治療を継続できるよう、地域での医療・福祉関係者との連携の強化が必要である。
取り組み・提案者概要
- 取組者
- 病院単体での取組
- 法人名
- 富山市立富山市民病院
- 病院名
- 富山市民病院
- 法人(病院)の開設主体
- 地方公共団体等(都道府県、市町村、地方独立行政法人)
- 所在地
- 富山県富山市今泉北部町2番地1
- 主たる医療機能の特徴
- 急性期機能
- 一般病床
- 病床数: 539
- 入院基本料:7対1
- 療養病床
- 病床数: 483
- 入院基本料:
- 結核病床
- 病床数: 6
- 入院基本料:
- 精神病床
- 病床数: 50
- 入院基本料:
- その他病床
- 病床名:
- 病床数:
- 入院基本料:
- 一日あたりの平均外来患者数
- 人(年度数値)
- 一日あたりの平均在院患者数
- 人(年度数値)
- 一般病棟の平均在院日数
- 日(年度数値)
- 病床稼働率
- %(年度数値)
- 職員総数
- 人(年度数値)
- 医師
- 人
- 看護職
- 人
- 医師事務作業補助者
- 人
- 看護補助者
- 人
- 医師の交代制勤務の有無
- なし
- 看護師の交代勤務の状況
- 勤務環境改善についての表彰・認定等について