取り組んだ内容

【取組(1)】
Ⅴ.その他
医療マネジメント職の育成

取り組みのきっかけ、背景、取り組み前の問題点

診療報酬制度の急速な変化に応じて経営の効率化を図るためには、事務職(以降:医療マネジメント職)は、医療の質を意識しながら、医師をはじめとするたくさんの現場に参画してもらう活動がさらに重要になる。
しかし、「○○してほしい」と単に現場へ依頼しても、やるべき業務が増える一方で、コンセンサスが得られにくい。「一緒に考えよう」というスタンスで、医師事務作業補助者(以降:医師事務)をタスクの一部として仕組を構築し、現場の負荷を最小限、むしろ、減少させながら、効率化を図っていくとコンセンサスが得られやすいと実感した。また、現場の効率化を図ってくれるという信頼関係も生まれ、その他のコンセンサスにもポジティブに影響した。
その経験を活かし、上尾中央医科グループ全体の働き方改革として、様々な場面で活躍できる医療マネジメント職の育成を推進することとなった。

取り組み対象

  • 取り組み対象
    コメディカル
  • 取り組みの中心部署・人物
    事務職
  • 取り組み詳細
    医師の働き方改革に向け事務職員が計画を策定:働き方改革を実現し生産性を向上するために、医療マネジメント職が院内業務を洗い出し、5つの軸※1で業務を効率化できないか検討を進めた。
    業務調査を実施し無駄を削減した:業務調査を実施し、医師以外へ移行可能なタスクを診療科毎に抽出し、それぞれの効果測定を実施。電子カルテの代行入力の他、逆紹介状の作成と紹介タイミングのコントロール、問診表の改定提案、カルテ呼出順序権限など、様々な外来診療の効率化を図った。また、これらの業務設計企画の他、業務プロセス改定提案のコンセンサスのために、医師や看護師、医師事務との話し合いをコーディネイトするなどのファシリテーションも、医療マネジメント職が中心となった。
    医師事務の教育:タスクシフト案件のニーズに確実に対応するために、高スキル人材を早期に増やす課題があった。そのためには、医師事務を短期間で効率的にスキルアップさせることが必要と考え、医師事務のスキルアップラダー構築のための部会を立ち上げた。医師事務を中心とし、医療マネジメント職が相談役になり、医師、看護部などのアドバイスをもらい、キャリアラダーの作成と評価ルールの構築ができた。
    医師事務の場所の選定:OJT教育に協力してくれる診療科を選定し、様々な試験運用が出来るモデル診療科としてスタートさせた。業務マニュアルなどの構築や医師事務の初期研修場所として機能させるなどの育成フローを構築した。

実施後の成果

Ⅴ.その他_成果
医師事務作業補助者の育成時間の短縮
成果の出た対象 ☐医師,☑コメディカル,☐看護職,☐事務職
成果に影響を与えた取り組み 【取組(1)】
成果指標 様々な業務設計を構築、さらに、ラダーを活用し業務拡大のスピードを加速させることにより、様々な現場の効率化が実現できた。
⇒ラダーを活用した教育により、医師事務の育成機関が短縮(24か月→10か月に短縮)
⇒診察終了予定時間1.5時間overしていたが解消された。
Ⅴ.その他_成果
病院経営の改善
成果の出た対象 ☑医師,☑コメディカル,☐看護職,☐事務職
成果に影響を与えた取り組み 【取組(1)】
成果指標 再診・処方料のみの外来患者を抽出、主治医に確認。医師事務は、逆紹介状の作成代行と予約のタイミングコントロールすることで、適切に外来患者の逆紹介を行うことができた。
⇒当該診療科の逆紹介患者20%UP

これまでの取り組み成果に対する院内の声・反応

医療マネジメント職が、常に現場に足を運んでくれ、効率化に関わってくれるので心強い。
医療マネジメント職が現場の課題を俯瞰的に見てくれるから、やりたい医療が実現できている。

今後の課題等について

【医師事務作業補助者における今後の取り組むべき課題について】
・女性特有の産休、育休、結婚などにより休職、退職などが常に発生しているために、新入職、中途職の受け入れなどによる担当の変更や新人の育成などが常にあるため、専門的技術の蓄積が難しく、業務管理の徹底が難しい
→この対応策として、さらなる育成と業務の標準化を進める。
・グループ内の病院によって、実効性のある活用になっている病院とそうでない病院がある。これは、医療マネジメント職の理解を含めた関与が不足していることが原因の一つである。
→医療マネジメント職がどのように医師事務を活用したらよいかを含めた育成の強化。
→この対応策として、当グループの年度方針にある「タスクシフト・タスクシェアの推奨」を次年度も掲げ、医師事務作業補助者による改善活動におけるベストプラクティスの共有活動をさらに力を入れる。
→逆紹介状の代行作成とタイミングコントロールによる地域へ逆紹介数をupさせる活動については、グループ内の別の病院でトライさせ、再現性を確認をしている。

取り組み・提案者概要

取組者
法人全体の取組
法人名
上尾中央医科グループ
病院名
上尾中央総合病院を中心に28病院・その他施設:老健21、クリニック8、学校3、他
法人(病院)の開設主体
その他(公益法人、私立学校法人、社会福祉法人、医療生協、会社、その他の法人)
所在地
グループ本部 (一般社団法人上尾中央医科グループ協議会) 埼玉県上尾市柏座1-10-3-58    (※以下病院情報 上尾中央総合病院 埼玉県上尾市柏座1-10-10)
主たる医療機能の特徴
高度急性期機能
一般病床
病床数: 733
 
入院基本料:7対1
療養病床
病床数:
 
入院基本料:その他
結核病床
病床数:
 
入院基本料:
精神病床
病床数:
 
入院基本料:
その他病床
病床名:
 
病床数:
 
入院基本料:
一日あたりの平均外来患者数
1345.9人(年度数値)
一日あたりの平均在院患者数
586.6人(年度数値)
一般病棟の平均在院日数
12.9日(年度数値)
病床稼働率
80.1%(年度数値)
職員総数
2038人(年度数値)
医師
283人
看護職
830人
医師事務作業補助者
51人
看護補助者
54人
医師の交代制勤務の有無
あり
看護師の交代勤務の状況
2交代制(変則含)
勤務環境改善についての表彰・認定等について
上尾中央医科グループ 医療法人社団協友会 メディカルトピア草加病院(埼玉県草加市 80床)
【公益社団法人 日本看護協会 看護業務の効率化 先進事例アワード2019 優秀賞】を受賞
題名「小規模病院における看護クラーク科の立ち上げ・看護クラークの一元管理による看護師負担軽減」
※参考情報:報告者の久保田が事務長として勤務していた病院です。