取り組んだ内容
【取組(1)】 Ⅰ.働き方・休み方改善 |
1 労働時間管理 |
年次有給休暇をはじめとする休暇の取得を促進している |
【取組(2)】 Ⅳ.働きがいの向上 |
1 キャリア形成支援 |
その他 |
病院や地域のニーズに必要な資格取得を進めた。患者・職員教育の視点から大学院への学びを支援した。 |
【取組(3)】 Ⅲ.働きやすさ確保のための環境整備 |
1 仕事と子育て・介護等の両立支援 |
その他の子育て・介護との両立支援の制度・取組(男性職員・女性職員ともに対象)を実施している |
取り組みのきっかけ、背景、取り組み前の問題点
WLB推進への取り組み前は、子育て中の看護職員への業務負担軽減に重点が置かれていた。また、平成22・23年度には、富山県の「看護職員育成モデル病院事業」に取り組み、看護師の育成について検討していた。しかし、平成23年に職員調査を実施したところ、20歳代や50歳代の職員を中心に不公平感が生まれていた。その内容も、休暇の取得、夜勤回数、時間外の労働、委員会活動、各部署の役割等様々なことに及んでいた。これらの課題について改善していくために、平成24年度から3年間、日本看護協会が実施している「ワークライフバランス推進ワークショップ」に取り組んだ。
取り組み対象
- 取り組み対象
看護職
- 取り組みの中心部署・人物
院内にWLB推進委員会(事務・コメディカルを含む)を同時に看護部内にもWLB推進委員会(9名)を立ち上げ、看護部主体で開始した。
- 取り組み詳細
【1 子育て・介護支援等の認知度を上げお互いを大切にし合う職場風土つくり】
就業規則やWLB支援対策についての理解が低いことがわかり、就業規則についての説明会を職員全員を対象に開催した。院内LANに「就業規則」の項目を作成し、職員が全員閲覧できるようにした。また、職員からの質問に対する回答も掲載した。その結果、看護休暇が取得しやすくなり、介護休暇も取得しはじめた。
【2 前残業・持ちかえり仕事の実態把握】
始業前残業や持ち帰り仕事の実態把握を実施した。委員会や会議の在り方と業務の見直しを行った。看護師のペア業務の開始、日勤中での自己申請による研修・委員会準備時間の確保を行った。
【3 業務が終了すれば気兼ねなく帰宅できる職場風土つくり】
平成25年には看護体制の変更(7対1から10対1)と療養病棟の開始、平成28年2月には、1病棟が地域包括ケア病棟となった。療養病棟の開始に伴い、2交代勤務の介護士が入職した。そこで、各部署の実情に合わせ、取り組み2年目からは遅出業務を開始した。内科系の夕方の入院への対応、外科系での手術患者の受け入れがスムーズになった。また、平成28年には、地域包括ケア病棟の開始で、急性期病棟の入退院が増加したため、地域医療連携センターや外来との業務連携を開始した。病棟部門で残業があるとの回答が多く見られたため、夕方に比較的余裕のある外来や中央部門からの応援体制を整えた。応援する業務の洗い出しや応援可能な時間や曜日などを具体的に決めて取り組んだ。手術室では、病棟への手術後の患者移送に、透析では、透析終了患者の病棟移送を始めた。患者の安全の確保とともに、夕方の応援により日勤から夜勤入りの看護師は1時間早く帰宅できるようになった。
【4 1週間程度の休暇取得ができる環境つくり】
年間カレンダーを作成し、連続した休暇の希望が書きやすいようにした。また、部署毎の休暇所得状況をグラフ化し職員に情報を提供しし、取得が少ない看護師へ上司が声掛けした。有給休暇は必要に応じて取得できるとの回答は、52.6%から70.3%に上昇した。有給休暇と週休を合わせて1週間程度の休暇の取得者も出始めた。
【キャリア形成支援】
平成28年までに2名の認定看護師が誕生した。また、糖尿病療養指導士、透析療法指導士、認知症ケア専門士等の資格取得も進んでいる。病院・地域の実情に合わせ、今後も資格取得支援を進めていきたい。
【メンタルヘルス対策】
病院の健康管理事業であるメンタルヘルス事業の拡大に伴い、平成26年度から臨床心理士が採用になった。職員から臨床心理士への直接相談が可能になっている。
実施後の成果
Ⅲ.働きやすさ確保のための環境整備_成果 | ||
1 仕事と子育て・介護等の両立支援 成果 | ||
その他 | ||
成果の出た対象 | ☐医師,☐コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(4)】 | |
成果指標 | 【子育て世代の看護師の活躍】平成28年夏の時点では、正規職員で夜勤ができないと申し出ている看護職は10.4%、全体で夜勤に制限のある看護職は27.1%であった。 |
Ⅲ.働きやすさ確保のための環境整備_成果 | ||
3 風土・環境整備 成果 | ||
その他 | ||
成果の出た対象 | ☐医師,☐コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(3)】 | |
成果指標 | 【正循環の勤務体制】安全な医療提供のためにも、十分な休みがとれる「正循環」の勤務体制の検討をしている。 |
Ⅳ.働きがいの向上_成果 | ||
1 キャリア形成支援 成果 | ||
その他 | ||
成果の出た対象 | ☐医師,☐コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(2)】 | |
成果指標 | 【キャリア形成支援】院内キャリア開発の視点から配属部署を検討し、職員の人材育成を行う。また、病院や地域のニーズに必要な資格取得を進める。患者教育・職員教育の観点から大学院への学びの支援を行っている。 |
Ⅰ.働き方・休み方改善_成果 | ||
2 勤務負担軽減 成果 | ||
その他 | ||
成果の出た対象 | ☐医師,☐コメディカル,☑看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(3)】 | |
成果指標 | 【仕事の配分】ここの職種の抱えている問題を話し合い、病院全体での仕事の配分を検討する。たとえば、看護師以外の職種で対応できる業務について、他部門との調整のもと整理した。(医師事務補助者や診療情報管理士との連携、入退院に関わる業務の効率化) |
これまでの取り組み成果に対する院内の声・反応
看護部は年次有給休取得の増加を認めたが、多職種は看護部ほど整えられていない。そのため、多職種の長がこの活動を見習っていた。
また、看護部のキャリア形成については病院幹部より好印象であり、ますますの資格取得支援を求められている。
今後の課題等について
看護部中心でWLB推進を進めてきたが、一部門だけでの取り組みでは十分ではない。病院全体で勤務環境について、実態を確認し、仕事の配分も含めて見直し、検討が必要である。医師事務補助者や診療情報士との連携し、入退院に関わる業務の効率化がさらに求められる。また、子育て世代の看護師の可能は範囲で勤務の調整をし、家庭と仕事の両立できるように対策が必要である。また、正循環の勤務体制に変更するためには、3交代から2交代への勤務体制も考慮しなければならない。インデックス調査より、「看護に費やす時間が十分に取れない」と回答した数は減少しなかった。看護周辺業務についてさらなる検討が必要である。
取り組み・提案者概要
- 取組者
- 病院単体での取組
- 法人名
- 公立学校共済組合
- 病院名
- 北陸中央病院
- 法人(病院)の開設主体
- 社会保険関係団体(健康保険組合及びその連合会、共済組合及びその連合会、国民健康保険組合)
- 所在地
- 富山県小矢部市野寺123
- 主たる医療機能の特徴
- 急性期機能
- 一般病床
- 病床数: 110
- 入院基本料:10対1
- 療養病床
- 病床数: 53
- 入院基本料:療養病棟入院基本料1
- 結核病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- 精神病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- その他病床
- 病床名:ドック
- 病床数:30
- 入院基本料:入院基本料4
- 一日あたりの平均外来患者数
- 426.8人(平成28年度数値)
- 一日あたりの平均在院患者数
- 136.3人(平成28年度数値)
- 一般病棟の平均在院日数
- 18.5日(平成28年度数値)
- 病床稼働率
- 83.6%(平成28年度数値)
- 職員総数
- 275人(平成29年度数値)
- 医師
- 12人
- 看護職
- 142人
- 医師事務作業補助者
- 4人
- 看護補助者
- 35人
- 医師の交代制勤務の有無
- あり
- 看護師の交代勤務の状況
- 3交代制(変則含),当直制,オンコール体制
- 勤務環境改善についての表彰・認定等について
- 日本看護協会 看護職のWLB推進 カンゴサウルス賞