取組事例・提案の紹介

単科精神科病院における東京都医療勤務環境改善支援センターの現状分析・課題抽出支援を活用した取組~医療勤務環境改善、離職防止、職場定着を目指して~

取組・提案者概要

取組者
病院単体での取組
法人名
社会福祉法人 桜ヶ丘社会事業協会
病院名
桜ヶ丘記念病院
法人(病院)の開設主体
その他(公益法人、私立学校法人、社会福祉法人、医療生協、会社、その他の法人)
所在地
東京都多摩市連光寺1-1-1
主たる医療機能の特徴
急性期機能
一般病床
病床数:
 
入院基本料:
療養病床
病床数:
 
入院基本料:
結核病床
病床数:
 
入院基本料:
精神病床
病床数: 467
 
入院基本料:15対1
その他病床
病床名:
 
病床数:
 
入院基本料:
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一日あたりの平均外来患者数
190.6人(平成28年度数値)
一日あたりの平均在院患者数
414人(平成28年度数値)
一般病棟の平均在院日数
日(年度数値)
病床稼働率
88.6%(平成28年度数値)
職員総数
383人(平成29年度数値)
医師
39人
看護職
164人
医師事務作業補助者
0人
看護補助者
72人
医師の交代制勤務の有無
なし
看護師の交代勤務の状況
3交代制(変則含),2交代制(変則含)
勤務環境改善についての表彰・認定等について
特になし

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取り組んだ内容

【取組(1)】
Ⅴ.その他
東京都医療勤務環境改善支援センター(以下「支援センター」と略す)の現状分析・課題抽出支援を導入して、職員の満足度等を指標に当院の勤務環境に関わる現状分析を行い、当院の抱える課題を明らかにした。更にそれらの結果に基づいて、勤務環境改善、離職防止、職員の職場定着に向けての具体的対策を検討し、可能なことは実行に移した。

取組のきっかけ、背景、取組前の問題点

 職員の勤務環境改善を巡っては、当院においても、毎年の従業員組合との交渉も含め、相当の努力をして、法規によって規定された項目以外にも様々な環境整備の試みを行ってきたつもりであった。ところが、近年当院の職員、特に看護部職員の離職率は一向に下がる兆しが見えず、日本看護協会が毎年公表している東京都の常勤看護師の離職率と比較しても極めて高い数値で推移していた。今回の取組に先立って日本看護協会の平成27年度看護職のワークライフバランス(WLB)インデックス調査にも参加するなどして改善の糸口を模索していたが、その頃に今回導入した現状分析・課題抽出支援等支援センターの事業内容を知った。それらについて管理職間で検討した結果「看護部のみならず全ての部署、全ての職種についての現状と課題を把握する必要がある」「当院の“医療の質”については第三者評価を受けている(医療機能評価2回更新)が、勤務環境、“雇用の質”についても外部の公平な目で評価してもらうことが必要ではないか」等の認識に立って、支援センターの平成27年度現状分析・課題抽出支援を導入することを決定した。

取組対象

  • 取組対象
    コメディカル,看護職
  • 取組の中心部署・人物
     実務上は看護部副部長をチーフとしたが、管理者を筆頭に、全ての部署の管理職全員にこのたびの取組の狙い、意味合いを十分に周知した上で具体的取組を開始した。
  • 取組詳細
     平成27年8月4日に東京都医療勤務環境改善支援センターに対して支援申し込み手続きを行ったところ、9月16日に、まず支援センターから派遣された社会保険労務士と医業経営コンサルタントが来院して、管理職に対してそれぞれの現状認識や支援導入を決定した意図についてかなり詳細なヒヤリングが行われた。次いで約二週間をかけて全職員を対象に「勤務時間と休憩、休日・休暇」「職員の健康支援」「勤務環境の改善」「業務手順・ストレス軽減」「気持ちのよい仕事の進め方」「活躍できる職場のしくみ」等の各項目について、チェックリストを用いたアンケート調査が行われた。更にそれらアンケート調査結果を補完する目的で、合計十数名の、主に管理職、中堅職員を対象に、かなりの時間をかけた個別の聞き取り調査が行われ、それらの結果を加味して頁数にして約50頁に及ぶ詳細な報告書を受け取ったのが翌平成28年の3月初旬であった。
     報告書によれば、当院においては上記六項目のうち、「勤務時間と休憩、休日・休暇」「勤務環境の改善」「業務手順・ストレス軽減」において一般職員の満足度が低く、その中でも特に評価が低かった個別のチェック項目は「勤務時間と休憩、休日・休暇」中では“職員確保について経営者側は努力している”“職員の仕事量は適切だと思う”の2項目、「勤務環境の改善」では“院内で提供される(職員食堂の)食事”、「業務手順・ストレス軽減」中では“職員の業務量を軽減することが、経営者によって検討されている”“パワーハラスメント、セクシャルハラスメントに対して独立した窓口が設置されている”等の各項目であった。また比較的評価の高かった項目「気持ちのよい仕事の進め方」中でも“病院の運営に関して職員の意見も傾聴している”というチェック項目の満足度が突出して低かったという結果が報告された。 また、これらに加えて、中堅職員に対する個別ヒヤリングにおいては「経営陣が努力していることが一般職員に正しく伝わっていないのではないか」という意見が数多く聞かれたという指摘があり、これらの結果を総合すると当院においては、「職員の仕事量」「経営者側による職員確保の努力」「経営者側による職員の仕事量の検討」「運営に関する職員の意見傾聴」に不満を持つ職員が多く、その根底にある問題点は経営者側と一般職員、双方向のコミュニケーションが不足していることであると結論付けられていた。
     これらの現状分析・課題抽出支援の結果を受けて、まず管理職会議で報告書の内容を全管理職に周知するとともに、各職場、各部署に報告書を配布し、各職場管理職から全職員に結果の概要を説明、報告してもらい、同時に全職員がいつでも報告書を閲覧出来るようにした。更に、幹部職員で検討の上、平成28年5月に、看護部副部長をチーフとして、全部署、全職種の職員からなる「勤務環境改善委員会」を新設、発足させるとともに、「信頼される良質な精神医療の提供」という当院の理念に基づいて「質の高い医療サービスを提供するために、医療の実務に携わる職員の定着・育成を図ることを目的として本委員会を立ち上げる」旨を管理者が諸会議等で折りにふれて明言し周知を図った。以後、同委員会は月に一度定例委員会を開催し、そこでの検討の結果、院内各所に職員用の「ご意見箱」を設置してその内容を集約することに加え、適宜職員対象にアンケート(例:「職員食堂について」「年休取得について」等)を実施し、それらご意見箱に寄せられた意見やアンケート結果のフィードバックも含めたコミュニケーション・ツールとして機能することを期待してニュースレター「勤務環境改善委員会だより」を概ね月一回発行し、各職場に配布することとした。支援導入後、職員へのアンケート結果やご意見箱に寄せられた意見に基づいて、まず最初に実行したのはドリップ式コーヒー自動販売機を職員食堂に設置したことであり、これなどは本当にささやかな取組ではあるが、職員には大変好評を博している。

実施後の成果

Ⅴ.その他_成果
この度の取組がどの程度寄与しているかは不明であるが、平成19年度から9年間連続で20%を超えていた常勤看護職員の離職率が、このたびの取組を行った平成28年度には11%に低下した。
成果の出た対象 ☐医師,☐コメディカル,☑看護職
成果に影響を与えた取組 【取組(1)】
成果指標 左記(常勤看護職員の離職率の低下)

これまでの取組成果に対する院内の声・反応

 本年度も勤務環境チェックリストを実施し現在集計中であるが、アンケートを実施すること自体が、職員の声を聞く姿勢はとても良い、自分たちのことを大事にしてくれている気がする等の好意的な意見が聞かれている。また、委員会の立ち上げやご意見箱の設置についても、たとえ意見がそのまま通らなくとも自分の思いや考えを病院んみ直接伝える手段が出来たことは評価したい等の声も聞かれることから、個々の取り組みについては概ね好意的に受け止められているのではないかと考えている。

今後の課題等について

 既述の如く、支援導入と結果報告を受けてのささやかな取組がどの程度寄与したかは不明であるが、結果的には平成28年度の看護部の職員離職率はかなり大幅に減少した。但し、その要因については不明な点も多く、更なる多角的分析が必要であると考えている。また、当院としては、同様の調査、アンケートを定期的に実施して、職員の満足度等をその都度モニターし、具体的取組の実効性を評価するとともに、その時点における現状把握、課題抽出作業(セルフレビュー)を継続して行っていくことが重要であると認識しており、今年度中に勤務環境改善委員会を中心に二度目の調査を行う予定である。また、今後特に当院と同種の単科精神科病院において、本支援を受ける施設が増加し、種々のデータが蓄積されれば同種他施設との比較評価も可能となるため、本支援を受ける施設、特に単科精神科病院が増えることを期待しているところである。