取り組んだ内容
【取組(1)】 Ⅰ.働き方・休み方改善 |
2 勤務負担軽減 |
補助職(医師事務作業補助者、看護補助者等)を配置している |
取り組みのきっかけ、背景、取り組み前の問題点
当院は医科系大学附属の総合病院として、医師の育成、高度先進医療や診療体制の整備により地域医療の発展、災害時の受入れ医療機関として役割を担っている。2012年に医師の業務負担軽減等を目的に全26診療科に1名の医師事務作業補助者(以下DCとする)を配置した。
しかし、DCの役割を正確に認識している職員がおらず、病棟庶務や看護補助の業務が中心で本来求められる役割が果たせず、十分に機能していなかった。
その中で救命救急センターではDCに本来の業務を担ってもらい医師の業務負担を軽減することを目的に業務改革を進めることにした。
取り組み対象
- 取り組み対象
医師
- 取り組みの中心部署・人物
医師
- 取り組み詳細
・医師がリーダーシップを発揮した業務改革の推進
DCに本来業務を担ってもらうため、医師が主体となり周囲の職員への周知・業務改革の必要性、業務がどのように変わるか説明した。
・DCの導入効果を最大限に高めるための包括的取組
業務の見直し:DCの導入で一定のタスクシフトは可能だが、DCの導入効果をより高めるには、業務自体の改革も必要である。当院では同意書、オーダリングのセット化、サマリのフォーマットなど過去の慣例に捉われずDCが代行入力が行い易くなるよう改編した。
教育体制の充実:当院では同意書の説明、同意取得をDCが行っている。一人立ちするまでに、説明内容の台本暗記、医師5名との模擬説明演習、医師全員が合格を出した後に医師を含めた患者説明、その後に一人立ちと段階的に教育を行っている。また250ページに亘る業務マニュアルを作成するなど教育体制を構築している。
定期面談と日々のコミュニケーション:医師とDCで定期面談を実施しているが常日頃から頻繁にコミュニケーションを取っている。日常の会話から信頼関係が構築され、業務改善においても双方から率直な意見交換が実施できている。
モチベーションの向上の施策:DCの取組を院外に発表させるため学術会に参加させている。発表に向けた勉強で更に知識が広まり更に院外との関係性を築くこともでき、DCモチベーションの向上に繋がっている。
実施後の成果
Ⅰ.働き方・休み方改善_成果 | ||
2 勤務負担軽減 成果 | ||
院内オンラインによる感染リスクの低減 | ||
成果の出た対象 | ☑医師,☐コメディカル,☐看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(1)】 | |
成果指標 | ・DCの業務改革に取組んだことで医師は診療に尽力する時間を確保することができるようになった。また、医師時間外労働が2015年月平均49.1時間から2017年、2018年は平均42.1時間と14%減少した。 ・業務改革前後で患者受入れ前後で799名⇒913件、手術件数は222件⇒256件に増加した。 ・救命救急センターの医師に対して満足度調査を行った結果、DCの介入により負担が軽減した、今後もDCが必要かという設問に全て医師から肯定する回答が得られた。 |
これまでの取り組み成果に対する院内の声・反応
DCに否定的な意見をもった職員が学術発表や発表に向けた取組姿勢を評価し、認めてくれたことで仕事がスムーズになった。
これまで課題であったDC早期退職への施策として教育体制に力を入れたことで、退職者を減少させることができた。
今後の課題等について
常勤職員の採用人数には制限があるため、DCは任期5年の日々雇用という仕組みで採用せざるを得ないのが現状である。DCの増員に伴い教育・指導体制を強化するため、任期を定めない専門職としての採用が一部できるようになったが、多くは任期5年の日々雇用での採用となっている。DCを現場で有効に活躍できる人材に育てても、任期が満了すると退職となる。それが実務者・教育者の動機付けの低下にもつながっている。
医師事務作業補助者の呼称は医療機関毎でさまざまである。呼称が統一されていないため、一般社会はもちろん医療業界での認知も十分に確立されていない。この職種が広く認知され、発展させていくために国として統一した名称を設定していただきたい。
DCが誇りを持って業務に従事し、また、プロフェッショナルな人材を形成させるためには、雇用の処遇改善、医療業界での地位の確立が求められる。
取り組み・提案者概要
- 取組者
- 病院単体での取組
- 法人名
- 北海道公立大学法人
- 病院名
- 札幌医科大学附属病院
- 法人(病院)の開設主体
- その他(公益法人、私立学校法人、社会福祉法人、医療生協、会社、その他の法人)
- 所在地
- 北海道札幌市中央区南1条西16丁目291番地
- 主たる医療機能の特徴
- 高度急性期機能
- 一般病床
- 病床数: 890
- 入院基本料:
- 療養病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- 結核病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- 精神病床
- 病床数: 42
- 入院基本料:
- その他病床
- 病床名:
- 病床数:
- 入院基本料:
- 一日あたりの平均外来患者数
- 1719.5人(年度数値)
- 一日あたりの平均在院患者数
- 702.7人(年度数値)
- 一般病棟の平均在院日数
- 12.1日(年度数値)
- 病床稼働率
- 85.7%(年度数値)
- 職員総数
- 1865人(年度数値)
- 医師
- 597人
- 看護職
- 822人
- 医師事務作業補助者
- 10人
- 看護補助者
- 68人
- 医師の交代制勤務の有無
- あり
- 看護師の交代勤務の状況
- 3交代制(変則含)
- 勤務環境改善についての表彰・認定等について